「WSL 2」初期プレビュー版が使用可能に、Windows 10の最新プレビュービルドでファイルの配置場所やIPアドレスに注意

Microsoftは、「Windows 10 Insider Preview Build 18917(20H1)」で、「WSL 2」の初期プレビュー版を試せるようにした。公開に当たってWSL 2独自の変更点を紹介した。

» 2019年06月14日 18時00分 公開
[@IT]

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 Microsoftは2019年6月12日(米国時間)、Windows 10の最新プレビュービルド「Windows 10 Insider Preview Build 18917(20H1)」で「Windows Subsystem for Linux(WSL)」の新版「WSL 2」の初期プレビュー版を試せるようになったと発表した。このビルドは「Windows Insider Program」で「Fastリング」を選択しているユーザーに公開されているもの。

 WSLは、Windows 10がインストールされているマシンから同一マシン内のLinux環境を利用するための仕組み。WSL 2ではLinuxディストリビューションをほぼそのまま利用でき、パッケージシステムも使用できる。

 Microsoftによれば、WSL 2の開発に当たっては従来のWSL 1と同様に使えることを目指しているという。だがWSL 2の初期プレビューでは、重要な変更点が2つあるという。

LinuxファイルをLinuxルートファイルシステムに配置

 Microsoftによれば、Linuxアプリケーションで頻繁にアクセスするファイルをWSL 2ではLinuxルートファイルシステムに置くようにしてほしいという。高速なファイルアクセスが可能になるためだ。WSL 1では、ファイルを「Cドライブ」に置くようMicrosoftは推奨してきた。

 なお、WSL 2では、WindowsアプリケーションがLinuxルートファイルシステムにアクセスできるようになっている。例えば、bashシェルで「explorer.exe /」を実行すると、エクスプローラでLinuxのルートディレクトリの内容を表示できる。このことは、Linuxファイルの配置場所をスムーズに変更するのに役立つだろうと、Microsoftは述べている。

初期ビルドでは、動的IPアドレスでLinuxネットワークアプリケーションにアクセスする

 WSL 2では仮想化技術を採用したことで、アーキテクチャが大幅に変わった。WSL 2は仮想マシン(VM)で動作するので、WindowsからそのVMのIPアドレスを使って、Linuxネットワークアプリケーションにアクセスする必要がある。逆にLinuxからWindowsホストのIPアドレスでWindowsネットワークアプリケーションにアクセスする必要がある。Microsoftはできるだけ早期に、WSL 2がlocalhost経由でネットワークアプリケーションにアクセスできるようにするという。

LinuxからWindowsアプリケーションにアクセスする方法(出典:Microsoft

新規のWSLコマンド

 WSL 2の初期プレビューでは、WSLのバージョンとディストリビューションを管理、表示するのに役立つ新しいコマンドを追加した。

wsl --set-version <ディストリビューション名> <バージョン番号>
指定したディストリビューションでWSL 2アーキテクチャを使用するか、WSL 1アーキテクチャを使用するかを指定する

 ディストリビューション名には「Ubuntu」などを指定し、WSL 2を使う場合は「2」を指定すればよい。

wsl --set-default-version <バージョン番号>
ディストリビューションのデフォルトインストールバージョン(WSL 1または2)を変更する
wsl --shutdown
実行中の全てのディストリビューションとWSL 2の「軽量ユーティリティー仮想マシン」を直ちに終了する

 WSL 2ではLinuxディストリビューションが動作するVMに対してユーザーが全てを管理できる設計になっている。ユーザーが管理しなくても必要なときに起動し、必要でなくなるとシャットダウンする。このコマンドを使用すると、明示的に全てのディストリビューションを終了後、WSL 2の仮想マシンをシャットダウンできる。

wsl --list --quiet
ディストリビューション名のみをリスト表示する

 このコマンドは、インストール済みディストリビューションの名前のみを出力するので、スクリプティングに便利だという。

wsl --list --verbose
全てのディストリビューションの詳細情報を表示する

 このコマンドは、各ディストリビューションの名前、ディストリビューションがどのような状態にあるか、どのバージョンが実行されているのかをリスト表示する。さらにデフォルトのディストリビューション名にアスタリスクを付けて表示する。

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