Microsoftは、「Windows 10 Insider Preview Build 18917(20H1)」で、「WSL 2」の初期プレビュー版を試せるようにした。公開に当たってWSL 2独自の変更点を紹介した。
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Microsoftは2019年6月12日(米国時間)、Windows 10の最新プレビュービルド「Windows 10 Insider Preview Build 18917(20H1)」で「Windows Subsystem for Linux(WSL)」の新版「WSL 2」の初期プレビュー版を試せるようになったと発表した。このビルドは「Windows Insider Program」で「Fastリング」を選択しているユーザーに公開されているもの。
WSLは、Windows 10がインストールされているマシンから同一マシン内のLinux環境を利用するための仕組み。WSL 2ではLinuxディストリビューションをほぼそのまま利用でき、パッケージシステムも使用できる。
Microsoftによれば、WSL 2の開発に当たっては従来のWSL 1と同様に使えることを目指しているという。だがWSL 2の初期プレビューでは、重要な変更点が2つあるという。
Microsoftによれば、Linuxアプリケーションで頻繁にアクセスするファイルをWSL 2ではLinuxルートファイルシステムに置くようにしてほしいという。高速なファイルアクセスが可能になるためだ。WSL 1では、ファイルを「Cドライブ」に置くようMicrosoftは推奨してきた。
なお、WSL 2では、WindowsアプリケーションがLinuxルートファイルシステムにアクセスできるようになっている。例えば、bashシェルで「explorer.exe /」を実行すると、エクスプローラでLinuxのルートディレクトリの内容を表示できる。このことは、Linuxファイルの配置場所をスムーズに変更するのに役立つだろうと、Microsoftは述べている。
WSL 2では仮想化技術を採用したことで、アーキテクチャが大幅に変わった。WSL 2は仮想マシン(VM)で動作するので、WindowsからそのVMのIPアドレスを使って、Linuxネットワークアプリケーションにアクセスする必要がある。逆にLinuxからWindowsホストのIPアドレスでWindowsネットワークアプリケーションにアクセスする必要がある。Microsoftはできるだけ早期に、WSL 2がlocalhost経由でネットワークアプリケーションにアクセスできるようにするという。
WSL 2の初期プレビューでは、WSLのバージョンとディストリビューションを管理、表示するのに役立つ新しいコマンドを追加した。
wsl --set-version <ディストリビューション名> <バージョン番号>
ディストリビューション名には「Ubuntu」などを指定し、WSL 2を使う場合は「2」を指定すればよい。
wsl --set-default-version <バージョン番号>
wsl --shutdown
WSL 2ではLinuxディストリビューションが動作するVMに対してユーザーが全てを管理できる設計になっている。ユーザーが管理しなくても必要なときに起動し、必要でなくなるとシャットダウンする。このコマンドを使用すると、明示的に全てのディストリビューションを終了後、WSL 2の仮想マシンをシャットダウンできる。
wsl --list --quiet
このコマンドは、インストール済みディストリビューションの名前のみを出力するので、スクリプティングに便利だという。
wsl --list --verbose
このコマンドは、各ディストリビューションの名前、ディストリビューションがどのような状態にあるか、どのバージョンが実行されているのかをリスト表示する。さらにデフォルトのディストリビューション名にアスタリスクを付けて表示する。
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