特許庁は、AIに関連した発明の特許出願について調査結果を発表した。国内の特許出願件数は2014年以降急増し、2017年の出願件数は3065件。国別では、米国と中国の出願件数が突出して多かった。
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特許庁は2019年7月1日、AI(人工知能)に関連した発明の、国内外の特許出願について、調査結果を発表した。今回の調査は、国際特許分類G06Nに対応するAIのコア技術に関する発明に加え、AIを各技術分野に適用した発明も含む。
まず国内の特許出願件数を見ると、前回のピークは第2次AIブームがあった1991年の2509件。その後件数は減り、2003年に975件、2012年に952件と落ち込んでいる。そして、第3次AIブームの影響で2014年以降急増している。2017年の出願件数は対前年比約65%増の3065件で、そのうちAIのコア技術に関する出願は924件(対前年比約55%増)だった。AIのコア技術は、ニューラルネットワークや深層学習、サポートベクターマシンなど、AIの基礎となる、数学的または統計的な情報処理技術だ。
AIのコア技術に関する出願は、日本や米国、欧州特許庁、中国、韓国、さらにPCT国際出願(1つの出願願書を条約に従って提出することで、PCTに加盟する全ての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願)のいずれも増加傾向にある。中でも米国と中国の出願件数は突出して多い。例えば2016年のAIのコア技術に関する出願件数は、日本が447件だったのに対して、米国は4170件、中国は2844件、欧州は367件、韓国は567件だった。
最近のAI関連発明では、主要技術として機械学習を用いているものが多い。中でも深層学習(ディープラーニング)を活用した出願が2014年以降急増している。2017年国内のAI関連発明の特許出願は、約半数が深層学習に言及するものだった。これに対して第2次AIブームのときは、知識ベースモデルやエキスパートシステムといった技術が多かった。
AIの適用分野としては、画像処理や情報検索・推薦、ビジネス関連、医学診断分野が目立つ。最近は特に制御やロボティクス分野への適用が増加傾向にある。具体的には、2017年の国内出願件数3065件のうち、画像処理が361件、情報検索・推薦が344件、ビジネス関連が230件、医学診断が147件、制御系・調整系一般が133件、材料分析が103件、音声処理が99件、映像処理が90件、自然言語処理が63件、マニピュレータが57件、交通制御が42件などだった。
なお、AI関連発明の特許査定率は2004年以降上昇しており、2010年以降は80%前後で堅調に推移している。
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