BBIXとさくらインターネットは2019年7月29日、合弁会社「BBSakura Networks」の設立を発表した。モバイルコアやバックホールネットワーク設定自動化などの取り組みを進めるという。
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BBIXとさくらインターネットは2019年7月29日、合弁会社「BBSakura Networks」(以下、BBSakura)の設立を発表した。新会社は5Gを見据えながらも、より広く「モバイルネットワークソリューション」を提供することが目的だという。
BBIXは、国内およびアジアの有線・無線通信事業者などに対し、インターネットエクスチェンジ/ローミングサービスを展開してきた。一方、さくらインターネットは、クラウド/データセンター事業者だが、LTE閉域網を通じてさくらのクラウドに直接接続できるIoT向けSIMサービス「さくらのセキュアモバイルコネクト」を、2018年2月に提供開始している。フルMVNOで、モバイルコアは自社開発という。
BBSakuraに対する出資比率はBBIXが51%でさくらインターネットが49%。当初は両社から計22人が出向する。その7、8割はエンジニアといい、同社は事実上、プロダクトの開発・運用に専念。BBIXとさくらインターネットが、それぞれの販路で展開する。
BBSakura設立の背景にはキャリアインフラのソフトウェア化があり、将来に向けては「5Gの特徴のうち、特に多接続およびネットワークスライシング(用途に応じたネットワークの論理分割とサービス品質の制御)に着目している」と、BBIX技術本部本部長で、新会社の代表取締役社長兼CEO を努める佐々木秀幸氏は説明した。
では、新会社はどのようなプロダクトを提供するのか。
まず、さくらインターネットが開発したモバイルコアがある。今後、「さくらのセキュアモバイルコネクト」のためのモバイルコアの運用はBBSakuraが担うと、さくらインターネットIoT事業推進室室長で、新会社の取締役兼COOを努める山口亮介氏は説明した。今後も新会社が開発した技術は、まずさくらのセキュアモバイルコネクトに投入、検証を進めることで、プロダクトとして早期に成熟させることを狙うという。新会社は5Gコアの開発も進める。
一方、モバイルコアを海外のモバイル通信事業者などに向け、サービスとして提供していく。これに関連して、3Gインフラなどへの対応も進めるという。日本国内ではMVNOなどを顧客として想定。また、地域BWAからローカル(プライベート)5Gにつながる動きにも対応していくつもりのようだが、当面は海外の顧客開拓に力を入れるという。
BBSakuraはまた、ネットワークスライシングに関連しながらも、より広く固定系ネットワーク関連の課題への解決策として、ネットワーク設定/トラフィックエンジニアリング自動化を実現するメカニズムを開発しようとしているようだ。「(現在、)BBIXでは顧客のオーダーを基に人が設定している。これを、クラウドのようにAPI連携でソフトウェアによる自動設定ができるようにしていきたい。セグメントルーティングについても人による設定が介在している。新会社では、モバイルを含めたさまざまなアクセス技術に対応するバックホールの(用途に応じた)最適化を、ユーザーがコマンド1つで適用していけるような仕組みを作りたい」(前出の佐々木氏)
佐々木氏はエッジコンピューティング関連の取り組みも進めたいと話した。エッジコンピューティングというと、日本では基地局あるいは基地局に隣接したところでのコンピューティングスペース確保が難しいとされるが、「私見としては、日本の場合光ファイバーで遅延の少ない通信が実現できているので、必ずしも基地局に隣接した場所での処理は必要ないと思う」と話す。とはいえ、海外を含め、エッジコンピューティングニーズにどう対応していくかについては、現時点で具体的に決まったことはないとしている。
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