WACULはWebサイトのリニューアルとCV数やCVRの向上効果に関する調査結果を発表した。リニューアルしたWebサイトの7割でCVの改善効果がなく、半数以上は逆効果だった。リニューアルするならば、CV定義の見直しが効果的だという。
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WACULは2019年7月31日、同社の社内研究所「WACULテクノロジー&マーケティングラボ」が実施した、WebサイトのリニューアルとCV(Conversion)数やCVR(Conversion Rate)の向上効果に関する調査結果を発表した。それによると、リニューアルしたWebサイトの7割でCVの改善効果がなく、半数以上は逆効果だった。
今回の調査によって分かったことは、大きく分けて次の2点。1つは、CV数やCVR向上の観点では、Webサイトのリニューアルによって得られる効果はほとんどないこと。もう1つは、Webサイトをリニューアルするに当たって、構造的変更には効果があるが、表層的変更には効果がないことである。
まず、CV数やCVR向上の観点から見ていくと、調査した20件のWebサイトのうち、リニューアルによってCVRが改善したのは4件、変化がなかったのは3件、悪化したのは13件だった。CV数については、改善したのは5件のみで、変化がなかったのは3件、悪化したのは12件だった。CV数とCVRを同時に見ると、CV数とCVRのどちらも改善しなかったサイトは14件あった。これらの結果から、WACULは「WebサイトをリニューアルしてもCV数やCVRが改善するとは限らず、むしろ悪化するリスクの方がはるかに高い」としている。
このように改善確率は低いものの、CV数やCVRに向上が見られたWebサイトでは、どの程度の効果があったのだろうか。今回の調査では、CVRが改善したサイトのCVR改善率の最大値は1.23倍だった。この点についてWACULでは、小規模サイトまたはCVが直接売上でない場合は、リニューアルに多大なコストをかけたにもかかわらずこの程度の改善では、費用対効果の点で問題があるとしている。
次に、CV数やCVRの改善を目的とした場合、サイトをどのように変更するのが良いのかを分析した。サイトの変更を、デザインや書式といった「表層的変更」と、新規コンテンツの配置やCV定義の変更といった「構造的変更」の大きく2つに分けて考えた。
構造的変更を実施した全てのサイトでCV数かCVRのどちらかが改善した。それに対して表層的変更を実施したサイトは、CV数かCVRが改善したのは20%にすぎず、CV数とCVRの両方が悪化したサイトは76%に上った。この結果を受けてWACULは「表層的変更はサイトの直帰率を上昇させる要因となる確率が高い一方、構造的変更のみの場合は直帰率が上昇する確率は低いとし、特にCV定義の見直しは効果が高く検討すべきだ」としている。
なお調査は、WACULが提供する「AIアナリスト」に登録されている約3万サイトのうち、プレスリリースなどで公式なWebサイトのリニューアルが確認できたサイトの中から無作為に20件を抽出し、CVの改善効果を確かめた。抽出したサイトの内訳は、ECサイトが7件、法人向けソリューションなどB2B(Business to Business)サイトが6件、B2C(Business to Customer)サイトが7件だった。AIアナリストは、Webサイトの診断や改善提案をAI(人工知能)によって自動的に実施するサービスである。
それら20件のWebサイトに対してAIアナリストを適用し、サイトリニューアルの直前31日間と、直後31日間についてCV数とCVRを計測した。同時に、リニューアル前後のサイト内容を比較し、変更点を調べた。
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