Windows 10をシャットダウンや再起動する際に、「Elara このアプリがシャットダウン(再起動)を妨げています」というメッセージ画面を目にしたことがあるでしょうか。少し古めのノートPCをお使いなら見たことがあるかもしれません。見たことのないアイコンとアプリ名にギョッとするかもしれませんが、心配はありません。
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「Elara このアプリがシャットダウン(または再起動)を妨げています」というメッセージは、筆者のデル製ノートPCの少し古いモデル(Windows 8プリインストールモデル)をWindows 10にアップグレードしてから、片手で数えるほどですが、何度か目にしたことがあります。いつも一瞬で消えてしまうので正確なメッセージは記憶頼りだったのですが、最近、ついにスクリーンショットを撮ることに成功しました(画面1)。
筆者はシャットダウンや再起動を妨げていたこの“謎アプリ”の正体を、初めて目にしたときに調べて知っていたので特に気にしていなかったのですが、先日、久しぶりにこの旧友に遭遇したので今回の記事を書くことにしました。
結論から言うと、このアプリの正体は、タッチパッドを備えた少し古いモデルのノートPCにインストールされている「タッチパッドのデバイスドライバ」に含まれるコンポーネントの1つです。
正体を知ってしまえば何ということもないのですが、知らないと気持ち悪いものです。インターネットを検索すれば、これが「タッチパッド関連のアプリ」であるという正しい情報も見つかりますが、マルウェアを疑わせる情報や、マルウェアの警告や駆除を行うという怪しげなサイトも多数見つかります。Windowsのユーザーフォーラムでは、マルウェアと信じてOSの再インストールまでしてしまったユーザーもいるようです(プラグ&プレイドライバの一部なのでOSを再インストールしたとしても状況は変わりません)。
しかも、タッチパッドを全く連想させない「人参のようなポップなアイコン」と、“ありゃりゃ(Oh la la)”に似た「Elara」というアプリ名は、これを初めて目にしたユーザーをドキッとさせるでしょう。何らかのマルウェアがひっそりと活動していて、シャットダウンや再起動時にその痕跡を一瞬見せたように思わせるかもしれません。
再起動後にエクスプローラーで「Elara.exe」というファイルを探しても見つかることはありませんし、「Elara.dll」「Elara.sys」といった「Elara」で始まるファイルも存在しません。レジストリを検索しても何も見つからないでしょう。ウイルスチェックを実行しても何も検出されないので、シャットダウンや再起動時に役目を終えて痕跡を残さず自らを消し去ったのだと怖い想像を膨らませてしまうかもしれません。
「Elara」で始まるファイルが見つからないとなると、残る鍵はあの“ポップなアイコン”です。謎のアプリの正体は「タスクマネージャー」やWindows Sysinternalsの「Process Explorer」を起動するとすぐに見つかりました(画面2)。
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