VMwareは2019年8月22日(米国時間)、Pivotal Softwareの買収で2社が確定的合意に至ったと発表した。また、VMwareは同日、エンドポイントセキュリティのCarbon Black買収に関する確定的合意を発表した。いずれもVMwareにおける事業フォーカスの広がりを象徴している。
VMwareは2019年8月22日(米国時間)、Pivotal Softwareの買収で2社が確定的合意に至ったと発表した。また、VMwareは同日、エンドポイントセキュリティのCarbon Black買収に関する確定的合意を発表した。いずれもVMwareにおける事業フォーカスの広がりを象徴している。
Pivotalの買収で、VMwareはこれまで行ってきた企業におけるITインフラ運用担当部署の支援に加え、ソフトウェア開発環境および開発体制の構築支援を直接進めることになる。
PivotalのCEOであるロブ・ミー氏は、同日の社員宛てメッセージで次のように述べている。
「今日、VMwareによる買収で両社が合意に達したことを発表する。両社のソフトウェアに関するストーリーを合わせ、さらに多くの顧客との関係を深めることを通じ、両社にとっての事業機会を拡大する。組織のモダナイズに関するPivotalの経験・知見とVMwareの能力および大規模な展開についての経験を併せ持つ組織を、共に作り上げていく。両社は力を合わせて、より多くの世界がソフトウェアを構築するやり方を変えていく」
「Transforming how the world builds software(世界がソフトウェアを構築するやり方を変えていく)」というのはPivotalの当初からのスローガン。上記のコメントで、ミー氏はこれを従来よりスケールする形で進めていく意思を示している。
今回の買収には、「VMware/Pivotal対Red Hat/IBM」という競合に絡む側面もある。
VMwareがKubernetes関連企業のHeptioを買収してまもなく、VMwareプロダクト/サービス担当COO(最高執行責任者)のラグー・ラグラム氏に、「VMware/Pivotal対Red Hatという構図なのか」と聞いた際、同氏は次のように答えていた。
「その表現は正しいと言える。VMwareは企業向けKubernetesソリューションにおけるリーダーシップを勝ち得たいと考えている。Red Hatもこの点では同じだ。だが、企業向けKubernetesソリューションとして、VMware NSXによるネットワーキング、セキュリティ、管理機能など、Red Hatではできないことをこちらは提供できる。一方、プライベートクラウドにおいて、VMware vSphereはOpenShiftにとって最大の稼働プラットフォームだ。また、OpenShiftに欠けているネットワーク機能を補うために、VMware NSX-Tを組み合わせる顧客が存在する。つまり、『コーペティション(競合と協調の同時進行)』の状況が生まれている」
その後KubernetesのエコシステムはPaaS(Platform as a Service)、FaaS(Function as a Service)を含めた広い意味でのアプリケーション開発・運用環境へさらに広がった。一方で一般企業にとってはKubernetesを導入するだけでは済まない状況が明らかになってきており、Pivotalが当初から推進してきたソフトウェア開発体制構築支援は、エンタープライズITにおける新たな焦点になっている。
一方、Carbon Blackについては、VMwareによる初の本格的セキュリティベンダー買収と表現できる。
VMwareはこれまで、VMware NSXやAppDefenceを通じて、「企業におけるネットワークセキュリティの在り方を変える」としてきた。従来型のセキュリティ市場は過度に断片化しており、企業は多様な目的および機能を備えた多数の製品を組み合わせた複雑な運用を強いられてきたというのがVMwareの主張。同社の統合的な製品群を採用すれば、企業は使用するセキュリティ製品の種類を減らせると訴えてきた。ただし、これまで基本的にはデータセンターのセキュリティ防御に留まっていた。
今回のCarbon Black買収で、エンドポイントセキュリティに本格参入することになる。また、例えばCarbon BlackとNSXとの連動で、Cb Responseによる通知に基づきネットワーク隔離を行うなど、防御手法の高度化が図れる。
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