VMwareは2019年8月26日(米国時間)、年次イベント「VMworld 2019」で、仮想化基盤であるVMware vSphereを「Kubernetesネイティブなプラットフォーム」にする技術「Project Pacific」のテクノロジープレビューを提供開始したと発表した。
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VMwareは2019年8月26日(米国時間)、年次イベント「VMworld 2019」で、仮想化基盤であるVMware vSphereを「Kubernetesネイティブなプラットフォーム」にする技術「Project Pacific」のテクノロジープレビューを提供開始したと発表した。2019年中にβ版を提供するという。
「Project Pacific」は、vSphereとKubernetesを、特にAPIレベルで統合的に扱えるようにすることで、単純にvSphere上でKubernetesを動かす場合には得られないメリットを提供するという。
開発者は、vSphereを全く意識することなく、CRD(Custom Resource Definition)の定義に基づき、vSphereのリソース/機能を活用してKubernetesクラスタをセルフサービス的に活用できる。単一物理ホストに仮想マシンとコンテナが混在でき、コンテナアプリケーションからの、永続ストレージリソースの利用も容易になるという。
一方、運用側はvCenterを通じ、vSphereとKubernetesを統合的に運用できる。VMwareに関するノウハウを蓄積した膨大な数のエンタープライズIT運用担当者が、より開発者に近いコンテナインフラを、これまでと同じツールで管理できるようになる。Kubernetesについては、環境の構成を開発側に任せ、運用側はインフラリソース監視やガバナンスの確保に専念できるという。
VMwareのクラウドネイティブアプリケーション事業部門で主席エンジニアを務めていえるジョー・ベダ氏の説明などによると、Project Pacificは次のような技術要素で構成されている。
1.「Supervisor Clusters」。vSphereでは新たに、管理用のKubernetesクラスタである「Supervisor Clusters」を動かす。これにより、vSphereの機能を、Kubernetes API経由で活用できるようになる。つまり、各種のKubernetes運用/自動化ツールから、vSphereの機能も活用できる。
「Supervisor ClustersはvCenterの一部として管理され、Project Pacific用の分散システムカーネルおよびAPIシステムとして機能する。非常にリアルな意味で、vSphereがKubernetes上で動くことになる」(ベダ氏)
2.「vSphere native pods」。vSphereのハイパーバイザーであるESXiで動くマイクロVM上で、複数のコンテナから成るKubernetesのポッドを直接動かす。これにより、高い効率や高速な起動、セキュリティ分離などのメリットを提供する。このマイクロVMはvSphereの「Instant Clone」機能を活用する。物理ホストのメインメモリ上のマイクロVMをフォーク/クローンし、瞬時に多数のVMを作成できるという。このあたりの説明は、以前VMwareが発表したPhoton Platformに源泉を見ることができる。
3. Kubernetesユーザーは、KubernetesのCRD(Custom Resource Definitions)を通じてvSphere APIを操作、vSphereのリソースや機能を利用できる。
4.「Kubernetes Cluster Services」。ベダ氏はこれを「vSphere上で動作するKubernetes」と表現する。開発チームは自らの必要とする構成やバージョンに適したKubernetesクラスタを、容易に作成できる。Kubernetes Cluster Servicesは、裏でKubernetes Cluster APIを活用する。
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