Google、古典的コンピュータを超える「量子超越性」を実証か53量子ビットを使用

カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授でGoogleのリサーチサイエンティストを務めるジョン・マーティニス氏の研究グループが、53個の量子ビットを持つ量子コンピュータにより、量子超越性を実証した。

» 2019年10月25日 19時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授で、2014年からGoogleのリサーチサイエンティストを務めるジョン・マーティニス氏の研究グループが、53個の量子ビット(qubit)を内蔵する量子プロセッサ「Sycamore」を内蔵した量子コンピュータを使って、従来の古典的コンピュータでは困難と考えられていた問題を解決し、「量子超越性(Quantum Supremacy)」を実証した。

 研究グループのメンバーである大学院生のブルックス・フォクセン氏によると、同グループの量子コンピュータは、従来のスーパーコンピュータでは1万年かかると推計される計算を200秒で実行した。約15億倍高速に計算したことになるという。

 この成果をまとめた論文が2019年10月23日付で科学誌「Nature」の電子版で発表された。

Sycamore量子プロセッサの外観(右)、Sycamoreを組み込んだ極低温装置の外観(左)(出典:Google) Sycamore内部には54個の量子ビットが格子状に結合されており、そのうち、53個を実験に用いた

 研究グループのメンバーであるもう1人の大学院生ベン・キアロ氏によると、同グループは、量子コンピュータの強みを強調するアルゴリズムを選択した。量子コンピュータが膨大な量の複雑な非構造化データを保持し、高速に操作する能力を実証するためだ。

 「われわれは基本的に、全ての量子ビットを包含するもつれ状態を、できるだけ高速に実現したいと考えた。そこで、複雑な重ね合わせ状態を生成する演算シーケンスを決定した。この重ね合わせ状態は、測定時に、その特定の重ね合わせを準備するために使われた演算シーケンスによって規定される確率で、出力(ビット列)を返すものだ」(キアロ氏)

なぜ従来のコンピュータでは実現が難しいのか

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

AI for エンジニアリング
「サプライチェーン攻撃」対策
1P情シスのための脆弱性管理/対策の現実解
OSSのサプライチェーン管理、取るべきアクションとは
Microsoft & Windows最前線2024
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。