技術同士、人同士、プロセス同士を結び付け、さらに技術、人、プロセスの三者を統合していくことで、アナリティクス/AIは輝き、デジタルトランスフォーメーションはリアルなものになると、シャーベンバーガー氏は話した。
以上はどちらかといえば抽象的な、AIプロジェクト失敗の理由だ。では現場における失敗の具体的な理由と考えられる対策は何なのか。
GartnerとSASの調査によると、構築された分析モデルの約半数は完全なデプロイに至っていない。いわゆる「PoC止まり」の状況も、これに含まれると考えられる。
その原因としては、モデル構築段階におけるデータサイエンティストと現場(あるいは事業部門)の間のコミュニケーション不足や理解不足により、出来上がったモデルが現場のニーズに対応しきれていないことが考えられると、シャーベンバーガー氏は言う。
機械学習/AIは複雑な課題に対処するために必要な、多数の判断を自動化できる点にメリットがある。だからといって、自己完結的に全てを処理できるわけではない。事業部門のニーズに合っているかどうかということの中には、人によるアクションを支援してくれるかどうかが含まれるという。
データサイエンティストが構築するモデルを、技術に詳しくない人が即座に把握できるような、何らかの仕組みが必要だという。
上記と同じGartnerおよびSASの調べでは、構築されたモデルの90%はデプロイまでに3カ月以上を要し、40%は7カ月以上の時間が掛かっていることも分かっているという。
「モデルは、半年で古くなってしまうことも往々にしてある。これではビジネスにおける有用性が失われてしまう。
対策として考えられるのは、ソフトウェア開発におけるCI/CD(Continuous Integration / Continuous Delivery)プラットフォームに似た、自動化の仕組みを構築することだという。自動化を進めて、雑多な手作業を排除し、データサイエンティストはモデル構築に専念できるようにする。また、こうしたプラットフォームにより、何が行われているかを、事業部門側が簡単に把握できるような仕組みが必要だという。
関連して、迅速にデプロイできたモデルも、いつかは古くなって有効性が低下してくる。このため多くのケースでは、いったん構築したからといってモデルを放置せず、再トレーニングをしていかなければならない。このためには、上述のようなCI/CDプラットフォームに似たパイプライン管理の仕組みを通じ。更新サイクルを回していくことが求められるという。
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