複雑になったMicrosoft Officeのシステム要件とサポート期限に注意企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(61)

「Microsoft Office」アプリケーションには、Office 365サブスクリプションに含まれるOfficeと、永続ライセンスであるスイートまたは単体製品のOfficeが存在し、WindowsまたはmacOSにインストールできます。現在、WindowsでサポートされているOfficeアプリケーションは複数存在し、システム要件やサポートライフサイクルが複雑になっています。今回は、企業向けのOfficeサービス/製品についてまとめました。

» 2019年11月12日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内

企業向けOfficeアプリのシステム要件とサポート期限を再確認しよう

 Windows向けの「Microsoft Office」アプリケーションには、クイック実行(C2R)版とWindowsインストーラー(MSI)版があり(バージョン2016以降はC2R)、混在している場合には、更新方法の違いに注意が必要なことを本連載の第19回〜第21回で「Windows 10」の更新管理と合わせて解説しました。

 今回はWindowsで現在サポートされているOfficeサービス/製品と、そのシステム要件(今回はOSバージョンのみ)、サポートライフサイクル(サポート期限)について、企業向けに限定して説明します。

 企業向けのサービス/製品とは、Officeサブスクリプションに含まれる「Office 365 ProPlus」や「Office 365 Business」、企業向けのスイートまたは単体製品である「Office 2013」「Office 2016」「Office 2019」です。インストールしようとしているWindowsのバージョンやサービスチャネルによって、サポート状況が異なるので注意してください。

 なお、最新情報やOS以外のシステム要件、macOS向けを含むその他のサービスや製品ついては、以下のサイトで確認してください。最新情報は英語サイトをお薦めします。

Office 365 ProPlus/Businessのシステム要件とサポート期限

 Office 365 ProPlusとOffice 365 Businessは、企業向けOffice 365やMicrosoft 365サブスクリプションで提供されるOfficeアプリケーションです(画面1)。その特徴は、モダンライフサイクルポリシーに従って、新機能を含む最新バージョンが常に利用可能なことです。

画面1 画面1 Office 365 ProPlusは、Officeポータルから最新バージョンをインストールできる。管理者がOffice Deployment Toolを使用して展開することも可能

 Office 365 ProPlusには、毎月新機能が提供される「月次チャネル」(Monthly Channel)、年に2回新機能が提供される「半期チャネル」(Semi-Annual Channel:SAC)、半期チャネルを先行的に評価するための「半期チャネル(対象指定)」(Semi-Annual Channel《Targeted》)があります。Office 365 ProPlusの既定は「半期チャネル」、Office 365 Businessの既定は「月次チャネル」です。

 なお、これらのサービスチャネルの名称はWindows 10と一時期そろえられましたが、Windows 10 バージョン1903から半期チャネル(SAC)へ一本化されたことで、Windows 10のサービスチャネルとの一貫性は失われてしまいました。

 Windows向けOffice 365 ProPlusおよびOffice 365 Businessは、以下のWindowsへのインストールと使用をサポートしています。

  • 半期チャネル(SAC)のWindows 10(注:サポート期間中のバージョンであること)
  • Windows 10 Enterprise 2015 LTSB(注:2020年1月以降はサポートされない)
  • Windows 10 Enterprise 2016 LTSB(注:2020年1月以降はサポートされない)
  • Windows 8.1
  • Windows 7 SP1(注:2020年1月以降は2023年1月までセキュリティ更新のみ提供)
  • Windows Server 2019
  • Windows Server 2016
  • Windows Server 2012 R2(注:2020年1月以降はサポートされない)
  • Windows Server 2012(注:2020年1月以降はサポートされない)
  • Windows Server 2008 R2(注:2020年1月以降はサポートされない)

 現在、サポートされているWindowsにおいても、2020年1月以降はサポートされなくなるものがあることに注意してください。長期サービスチャネル(LTSB/LTSC)のWindows 10 Enterpriseが該当しますが、最新のWindows 10 Enterprise LTSC 2019についてはリリース時からサポートされていません。

 Windows 7 SP1はOSのサポート期限後も3年間はセキュリティ更新のみが提供されますが、これは「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」の対象となっているWindows 7 SP1での利用を想定したものでしょう。

 また、このリストに最近追加されたものとしてWindows Server 2019があります。詳しくは、以下の公式ブログで確認してください。このブログでは、2019年10月に一般提供された「Windows Virtual Desktop」でも利用されている、非永続的な仮想環境やマルチセッション環境のローミングユーザープロファイルの課題を改善する「FSLogixテクノロジー」が、オンプレミスの「Windows Server 2019」環境でも利用可能になったことがアナウンスされています。

 Office 365 ProPlusおよびOffice 365 Businessは、モダンライフサイクルポリシーに従っているため、新機能を含む更新バージョンにはサポート期限があります。原則として、月次チャネルおよび半期チャネル(対象指定)は最新リリースのバージョンのみ、半期チャネルはそのバージョンがリリースされてから18カ月サポートされます。

 サポートされるバージョンと、そのサポート期限については、以下のサイトで確認できます。こちらも最新情報には英語サイトをお薦めします(画面2)。

画面2 画面2 各更新チャネルでサポートされるバージョンとそのサポート期限は、Office 365 ProPlusの更新履歴のページで最新情報を確認できる

 Office 365サブスクリプションでは以前、Office 2013バージョンとOffice 2016バージョンの両方が利用可能であり、管理者またはユーザーが利用するバージョンを選択できるようになっていました。

 以下で説明されているように、Office 365サブスクリプションにおけるOffice 2013のサポートは2017年2月で終了しました。それ以降、管理センターからはOffice 2013を入手できなくなりましたが、「Office Deployment Tool」を利用して、2013バージョンのOffice 365 ProPlusを展開することは引き続き可能です。また、セキュリティ更新については2023年4月10日まで引き続き提供されますが、Office 365のサービスへの接続は予告なくサポートされなくなる場合があります。

Office Standard/Professional/Professional Plus 2019のシステム要件

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