ガートナーが2020年版「戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」を発表「分散型クラウド」や「専門性の民主化」など

ガートナー ジャパンは、今後5年間で重要な転換点に達するトレンドを示す「戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」の2020年版を発表した。「分散型クラウド」や「自律的なモノ」などが選ばれた。

» 2019年11月14日 08時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 ガートナー ジャパンは2019年11月13日、「戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」の2020年版を発表した。同社の「戦略的テクノロジ・トレンド」は、幅広く利用されて大きなインパクトをもたらす状態に入り、大きな破壊的可能性を持つようになった技術トレンドや、今後5年間で重要な転換点に達する、急成長しているトレンド。2020年版には「分散型クラウド」や「自律的なモノ」が選ばれた。

 ガートナーのディスティングイッシュト バイスプレジデントを務めるDavid Cearley氏は、「2020年の戦略的テクノロジ・トレンドでは、People-Centric(人中心)のスマートスペースという視点から、重要なインパクトを体系化して評価した。人を技術戦略の中心に据えることで、技術が顧客、従業員、ビジネスパートナー、社会などにいかにインパクトを及ぼすかという、技術の重要な側面が浮き彫りになる」と述べている。

トレンドトップ10

 2020年版の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10は、次の通り。

ハイパーオートメーション

 複数の機械学習やパッケージソフトウェア、自動化ツールなどを組み合わせて、一連の仕事を実行する概念と実装。このトレンドはRPA(Robotic Process Automation)から始まっているが、ガートナーによるとRPAだけではハイパーオートメーションとはいえない。人がタスクに関与している部分を、ツールの組み合わせによって模倣できるよう支援することが必要になるという。

画像

専門性の民主化

 ガートナーは、2023年までに4つの民主化トレンドが加速すると予測している。すなわち、「データとアナリティクスの民主化」「開発の民主化」「設計の民主化」「知識の民主化」の4つだ。同社によると民主化の目標は、劇的に簡素化されたエクスペリエンス(体験)を通じて、広範で高コストなトレーニングを受けていない人にも、機械学習やアプリケーション開発といった「専門家でなければ難しい分野」に簡単にアクセスできるようにすることだという。

分散型クラウド

 パブリッククラウドを各地に分散させ、パブリッククラウドベンダーがそのオペレーションやガバナンス、アップデートなどに関する責任を負う仕組み。現在のパブリッククラウドサービスの大半が採用している一元化モデルからの大幅な転換を意味する。

自律的なモノ

 ロボットやドローン、自律走行車など、これまで人間が担ってきた機能を、AI(人工知能)を利用して自動化する物理デバイス。ガートナーは、「自律的なモノは、従来の固定的なプログラミングモデルによる自動化をはるかに上回る機能を提供し、AIを活用して周囲の環境や人とより自然にやりとりする高度な振る舞いを実現する」としている。技術が向上し、社会に受け入れられるようになるにつれて、公共スペースでの自律的なモノの展開が増加すると同社は予測する。

AIのセキュリティ

 ガートナーは、今後幅広く利用されるAIや機械学習は、ハイパーオートメーションを可能にし、自律的なモノを活用する大きな機会をもたらし、ビジネストランスフォーメーションを実現させると説明する。だがその一方で、IoT(モノのインターネット)やクラウドコンピューティング、マイクロサービス、スマートスペースなど潜在的な攻撃ポイントの増加に伴い、セキュリティに関する課題にも直面する。今後は、AIを活用したシステムの保護や、攻撃者によるAIの悪用を見越した対応などに注意する必要がある。

 その他のトレンドには「マルチエクスペリエンス」「ヒューマン・オーグメンテーション(人間の拡張)」「透明性とトレーサビリティ」「エッジ機能の拡張」「実用的なブロックチェーン」などが挙げられている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。