ガートナー ジャパンによると、日本企業がデジタル化の取り組みについて世界の企業に後れを取っており、その差が拡大しているという。特に「国に保護されている業界」でその差が顕著になっている。
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ガートナー ジャパンは2020年1月14日、デジタル化の取り組みについて日本企業が世界の企業に後れを取っており、その差が拡大しているとの調査結果を発表した。同社は日本企業に対して、「組織文化を変革してデジタル化を加速し、世界に取り残されないよう優秀な人材を育成してイノベーションを始めるべきだ」と指摘している。
ガートナーがこうした主張の根拠としているのは、同社が世界のCIO(最高情報責任者)を対象に実施した「2020年のCIOアジェンダ・サーベイ」の結果。同調査ではあらゆる企業がデジタル化に取り組んでいるとしており、デジタル化の取り組みの拡大期に達している企業の割合は全世界で40%に達し、これは2018年の2倍以上に当たるという。
それに対して日本企業は、既に2019年のCIOアジェンダ・サーベイで、世界と比べてデジタル化の取り組みで後れを取っているとの結果が出ていたが、2020年のサーベイではその差が、2019年の11ポイントから28ポイントにさらに開いた。
ガートナーのアナリストでバイスプレジデントを務める藤原恒夫氏は、「特に国に保護されている業界では、日本企業は完全に世界から取り残されており、このままでは衰退していくことは明らかだ。残念ながら、国内で周辺の競合企業を見ているだけではこの事実には気付かない。CEOもCIOも、常に世界に目を向けて競争力を養うことを心掛けていく必要がある」と述べている。
ガートナーは、世界の適合した企業と比べて日本企業は「ITのリーダーシップ」と「戦略」に関する能力が大きく引き離されているとも指摘している。適合した企業とは、ディスラプション(創造的破壊)に直面した後に、ビジネスの主力(イニシアチブ)への資金提供や適切な人材の獲得といった能力を、ディスラプションの前よりも強化した形で転機を乗り越えた企業のこと。ガートナーの調査によると、世界の90%の企業が過去4年間にディスラプションに直面していた。
ガートナーの藤原氏は、「経済産業省が2019年4月に発表した『IT人材需給に関する調査(概要)』によると、1990年代のバブル経済崩壊以降、日本でのIT人材の生産性上昇率は、諸外国に比べて低い水準が続いている。それでも国内だけを見ていると、企業は成長している上に、競合他社とも横並びであるため、多くの企業は危機感をさほど抱いていないように見受けられる。既存の人材を元気づけ、世界に通用するよう育成するところから着手すべきだ」と述べている。
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