日本では提供されない、EOS後も続くWindows 7向けの手厚いサービスがあった?山市良のうぃんどうず日記(171)

Windows 7のサポート終了前後の状況や、サポート終了(End of Support、EOS)後の「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」を調査するため、2019年末にAzure上にWindows 7 Enterprise(MarketplaceのVisual Studioサブスクライバー向けイメージ)の仮想マシンを展開しました。追加のソフトウェアをWebからダウンロードしようとInternet Explorerを起動してみると、そこには初めて目にするページが……。

» 2020年02月13日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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山市良のうぃんどうず日記

怪しいサイトに誘導された? 否、正規のサイトでした

 それは確か、Windows Updateによる更新を終え、「Microsoft Security Essentials(MSE)」やその他の無料ソフトウェアをダウンロードしてインストールしようとしたときのことです。「Internet Explorer(IE)」を初めて起動すると、「Internet Explorer 11の設定」ダイアログボックスの後に「初回実行ウィザード」という機能が動作します。

 通常は「IEのWebサイトへようこそ」ページ(https://www.microsoft.com/ja-jp/welcomeie11/)が表示されるのですが、筆者がセットアップした「Microsoft Azure」上の「Windows 7」のIE 11は、以下のページを表示しました(画面1)。

画面1 画面1 Azure上のWindows 7仮想マシンのIE 11の初回実行時に表示されたページ

 一瞬、セットアップ中に意図せずマルウェアを取り込んでしまい、何かを書き換えられて、怪しいサイトに誘導されたのかと思いましたが、Microsoftの正規サイト内のページに間違いありません。このページへのリダイレクトは、2020年1月14日のサポート終了後も行われています(2020年2月6日現在)。

 画面内の「Install now」をクリックすると、以下の6項目のセットアップが自動的に行われました(画面2)。

  • Installing and Enabling Free Antivirus:無料のウイルス対策としてMSEのダウンロードとインストール
  • Enabling PDF Docs - Adobe Reader:PDFドキュメント参照用に「Adobe Acrobat Reader DC」のダウンロードとインストール
  • Turning on Windows Firewall:「Windowsファイアウォール」の有効化
  • Turning on Windows Update:Windows Updateの自動更新の有効化
  • Setting IE as the Default Browser:IEを既定のブラウザに設定
  • IE Performance and Safety Check/Repair:IEのパフォーマンス改善のためのキャッシュの調整、欠陥のあるアドオンの無効化、SmartScreenフィルターの有効化、ポップアップブロックの有効化、推奨されるセキュリティ設定にリセットなど

画面2 画面2 「Install now」をクリックすると、Windows 7でインターネットを安全に利用するために必要な最低限のソフトウェアとセキュリティ設定を自動で行ってくれた

日本語版Windows 7で初めてIEを起動した場合

 2019年末というサポート終了間際になって、なんとご親切な支援を用意してくれたものだと思いました。しかし、手元のHyper-V仮想マシンとして準備していたWindows 7日本語版に新規ユーザーを追加してログインし、IEを起動してみると、少し似ていますが全く別のページが表示されました(画面3)。「IEのWebサイトへようこそ」をWindows 7向けに改良したもののようです。

画面3 画面3 日本語版のWindows 7のIE 11の初回実行時に表示されたページ

 このページからは、以下の3つの項目を設定できます。2つは先ほどのサイトと同じですが、それぞれ個別に実行する形になります。

  • Bingを既定の検索エンジンに設定する:「DefaultPack.exe」のダウンロードと実行
  • Windows Updateを有効にする:サポート情報12373「Windows Update:FAQ」へのリンク
  • IEを既定のブラウザーに設定する:「InternetExplorerDefault.exe」のダウンロードと実行

 画面1画面3の違いは、Windows 7の現在の表示言語が「英語(米国)」か、「日本語(日本)」かの違いであり、リダイレクト前の参照URLはどちらも以下のURLでした。

 試しに日本語版Windows 7のIE 11の「インターネットオプション」を開いて、言語に「英語(米国)」を追加し、優先順位を最上位にして上記URLにアクセスすると、英語版Windows 7と同じページにリダイレクトされました(画面4)。

画面4 画面4 日本語版Windows 7のIE 11の言語に「英語(米国)」を追加し、最上位に設定した

 しかし、日本語版Windows 7では「Install now」をクリックすると、.NET Frameworkの例外エラーが発生しました(画面5)。エラーを無視して続行したところ、MSEのインストールとAdobe Acrobat Reader DCのインストールだけを選択、実行することができました(画面6)。ただし、どちらも英語版です。

画面5 画面5 「Install now」を実行すると、初期段階で.NET Frameworkが例外エラーを発生
画面6 画面6 例外エラーを無視して続行したところ、6つの項目のうち実行できたのは2つだけ

 つまり、“手厚いセットアップの自動化機能”は、日本語環境への対応が用意されていないということです。Windows 7のサポートが終了した今となってはどうでもよい情報かもしれませんが、「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」の購入者で、かつ英語版Windows 7(他の言語は未確認)の利用者であれば、今後も手厚いセットアップの自動化機能を利用できます。

 ESUの購入者で、かつ日本語版Windows 7の利用者は、これまで通り、ソフトウェアをダウンロードしてインストールすればよいでしょう。Windowsファイアウォールの有効化やIE 11のセキュリティ設定は、各自見直して安全性を確保してください。なお、ESUを購入していない場合でも、MSEの新規インストールや定義ファイルの更新が制限されるということは現状、ありません。

 以下のページには「Windows 7がサポートされなくなり、Microsoft Security Essentialsの新しいインストールを利用できなくなりました」と説明されていますが、2020年2月初めの時点では、上記のサイトからダウンロードしてインストールし、更新することが可能でした。ですが、近い将来、説明にある通りにダウンロード提供が終了し、新規インストールもブロックされる措置が実施される可能性はあります。

 最後に、Azure上のWindows 7 Enterpriseのテンプレートには、言語パックが最初から追加されており、簡単に日本語化できました。もし、日本語化した後にIEを初めて起動したのだとしたら、例のページを目にすることはなかったでしょう。ただし、MSEとAdobe Acrobat Reader DCが英語版のままなので、日本語版にインストールし直すかどうか少し迷っています。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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