ローカル5Gでケーブルテレビ業界に勝算はあるのか、携帯会社の対抗軸になるわけではない理由新会社グレープ・ワンの社長に聞いた(2/2 ページ)

» 2020年02月26日 05時00分 公開
[三木泉@IT]
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 住友商事本体は、基地局をMNOなど、他の事業体に貸し出す事業を検討しようとしている。例えば同社は2019年8月に東急電鉄と提携し、「複数の通信事業者向けに提供する5G共用アンテナシステムの2020年度中の実用化を目指し、2020年1月(予定)から実証実験を行う」と発表している。

基地局シェアリングのイメージ図(プレスリリースより抜粋)。5Gサービス事業者は、図下部のように、基本的には従来通りそれぞれが自ら基地局を展開する。だが、図上部のように基地局シェアリングを行えば、基地局運営費用を“割り勘”することができる

 米国や英国、中国・インドなどでは、基地局を設置・運営して複数の通信事業者に貸し出す専門業者が台頭し、既に無線通信インフラで大きな役割を果たしており、日本で同様な事業が展開するのは時間の問題だ。ケーブルテレビ業界も遠からず、基地局シェアリング事業に参画していくことになる可能性がある。

ローカル5Gでは住友商事の全社的な取り組みとも連携

 グレープ・ワンとケーブルテレビ事業者は、連携しながら、企業や自治体を対象としてローカル5G事業を進める。

 「WiMAX、LTEによる地域BWAでは、自治体の理解を得ることが難しかった」(小竹氏)。だが、ローカル5Gについては、東京都が既に名乗りを上げていることに示されているように、スマートシティへの取り組みとも関連して、自治体の関心が高いという。

 小竹氏は、ケーブルテレビ業界での地域課題の解決に向けたローカル5Gを活用したソリューションの具体例として、「オンライン診療の促進」「河川状況の(高精細映像による)遠隔監視」「メディア・ICT人材育成の強化」「eスポーツを通じた地域産業の創出」などを挙げている。

 一方、小竹氏の所属する住友商事では「DXセンター」という100人規模のDX専任組織があり、ローカル5Gを活用した地域課題の解決に取り組んでいる。DXセンターは、住友商事が全社的に推進する、企業のデジタル変革支援の取り組みにおけるハブとなっている。

 同センターはケーブルテレビ業界とも連携し、住友商事の業種別事業部や子会社、さらに他社と協力し、ソリューションの提供を検討している。既に、「スマートファクトリー」「スマートウェアハウス」「スマートホスピタル」などで、検証を進めているという。

 なお、機器の自動操縦をはじめとした5Gソリューションでは、対象にできるだけ近い場所で低遅延の演算処理を実施する、いわゆる「マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)」の重要性が増してくる。グレープ・ワンでは都道府県・地域単位のデータセンターで、この機能を提供することも視野に入れていきたいという。

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