ガートナーは、新型コロナウイルス感染症が拡大し、事業が停滞する企業のCIOに対して、立て直しと成長に備えるための3つの提言を発表した。
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ガートナーは2020年3月11日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に拡大する中、事業が停滞あるいは中断している企業に対して、回復力を高め、立て直しと成長に備えるために、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)は3つのアクションに直ちに注力すべきとの提言を発表した。
1つ目は、セキュリティコントロールとネットワークサポートを備えたデジタルコラボレーションツールの導入。ガートナーは、リモートワーク体制を確立していない企業のCIOに対して「暫定的に当面の解決策を講じる必要がある」と指摘する。その一環として、全般的なコミュニケーションに向けたインスタントメッセージング、ファイル共有や会議ソリューション、ERPやCRM(顧客関係管理)といったエンタープライズアプリケーションへのアクセスといったユースケースの要件を特定し、セキュリティ対策全体を見直してアプリケーションとデータへの安全なアクセスを確保すべきだとしている。
2つ目は、デジタルチャネルを活用して顧客やパートナー企業との連携を高め、営業活動を維持すること。ガートナーは、さまざまな販売シナリオに対応するため、ワークプレースコラボレーションやビデオ会議、ライブストリーミングなどを活用すべきだとしている。さらに、オンラインやモバイル、ソーシャル、キオスク、音声自動応答の各チャネルを通じて、顧客がセルフサービスを利用できるように推進すべきだとも指摘する。
ガートナーのシニア ディレクターを務めるSandy Shen氏は、次のように述べている。
「デジタルチャネルの価値は、市場の需要が縮小し、人々が日用品の調達をオンラインプラットフォームに依存するに従って明らかになる。企業はデジタルチャネルを活用することで、失った需要の一部を補える。自社の公式ページやアカウントを用意してコマース機能を統合することで、オンライン販売も可能になる。企業は、デジタルチャネルで販売できるよう製品を速やかに適応させる必要がある」
3つ目は、従業員に向けて単一の正しい情報源を確立すること。誤った情報(デマ)が広まったりデータが欠如したりすることで混乱を招くと、意思決定が正しく行われないことがある。そうなると従業員の不安が高まり、平時のオペレーションに戻るための準備に支障を来す。ガートナーは「こうした混乱時には、データを活用することで意思決定を支援し、状況の進展を効率的に従業員に伝えることで、不安を解消できる」としている。
Shen氏は次のように述べる。
「社内外の情報源から得た情報を吟味して提供することで、実践的な指針を従業員に提示できる。地元の行政機関や保健当局、WHO(世界保健機関)のような国際機関を情報源として活用すべきだ。情報を精査して自社のポリシーを明確にするため、必要に応じて人事や広報のリーダーの関与を仰ぐことも有効だ。そうした情報を定期的に共有するために、社内向けのサイトやアプリ、ホットラインなどを設置すべきだ。従業員が健康状態を通知したり、緊急のサポートやケアサービスを求めたりする場合にも利用できる」
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