クラウドとビジネスのダイナミックな変化が、SD-WANの2020年をけん引するSilver Peak Systemsのグローバル責任者に聞いた(2/2 ページ)

» 2020年03月31日 05時00分 公開
[三木泉@IT]
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 「同じ大企業でも、多数のITスタッフを抱えているところは、製品を購入し、自社で導入できる。一方で、『1000拠点をSD-WANでつなぎたい、だが自社ではタッチしたくない。SLA(Service Level Agreement)の下で、展開や運用を他社に任せたい』というところが増えている。ちなみに、MPLS回線コストの圧縮も同時に頼みたい、といったことになりやすい」

 SD-WANをサービスとして利用したいというニーズに応えるため、以前からのシステムインテグレーターとの協業に加え、Silver PeakはAT&Tをはじめ、グローバルな通信事業者との連携を強めているという。

 上記の通り、クラウドへの移行やビジネスのダイナミックな変化に対応する柔軟なWAN構成が、最近のSD-WANにおけるメインの導入要因になっているとはいえ、MPLS回線とブロードバンド回線の価格差は企業にとって引き続き魅力的だとホワイティング氏は強調する。

Silver Peak Systemsグローバル・オペレーションズ担当プレジデント、イアン・ホワイティング氏

 「米国では50〜60%の回線コスト削減効果が即座に得られる。これは大きい。日本では、高品質な専用線が比較的安価に提供されているとは聞いているが、グローバルに展開している企業なら、コストメリットは大きいはずだ」

 クラウド利用の進展をきっかけとして各拠点からの直接インターネットアクセス(「ローカルインターネットブレイクアウト」などと呼ばれる)を進めるなら、セキュリティも同時にクラウド化したいという話は多く、SD-WANベンダーにとってセキュリティは切り離すことのできないトピックになっている。

 SD-WANベンダーは、セキュリティ機能を合わせて提供するところと、他社に任せるところに分かれている。例えば前回取り上げたVersa Networksは、自社製品におけるセキュリティ機能の充実に積極的だ。

 「Silver Peakは、基本的に自らセキュリティ機能を持たず、Zscalerなど他のクラウド型セキュリティベンダーとのパートナーシップを、できる限り広げていきたい。自社の製品に顧客をロックインしたくないからだ」

WANアーキテクチャ変革は長期にわたるプロセス

 ホワイティング氏は、Silver Peakが大企業におけるWANアーキテクチャ変革のツールとしての役割を果たせると主張する。そうはいっても、多数の拠点における既存ルータを、一夜にして入れ替える顧客企業はない。

 「WANの再構築に積極的な大企業は、既存WANを維持しながらSD-WANをかぶせ、一部の拠点から従来型ルータを段階的に撤廃する。ルータのリプレース時期が来た拠点から移行するケースがほとんどだ。新旧アーキテクチャが共存する時期は長く、ベンダーとしてはこれを円滑に進められるようにする努力を払っている」

 ではあらためて、現時点でのグローバルでのSD-WAN市場をどう見ているか。

 「試験導入や早期導入企業に限られていた時期は確実に過ぎた。例えば当社の製品を本番運用している企業は、巨大なグローバル企業を含めて既に1500社に上っている。とはいえ、市場調査会社はSD-WAN市場が50〜60億ドルといった規模に成長すると予測している。つまり、この市場はまだ立ち上がったばかりで、私も10段階でいえば2程度だと感じている。そこで興味深いのがアジアの市場だ。これまでのあらゆるネットワーク関連市場で、アジア太平洋地域は全世界の15〜20%程度を占めてきた。だがSD-WANでは現時点で世界の6%に過ぎない。従ってベンダーとしては、まだまだ認知度向上や検証を推進する必要がある。例えば当社は日本に関し、エネルギーの8割を販売パートナー支援に費やしている。また、大規模な導入案件のプロジェクト管理を行う『デプロイメントエンジニア』の投入もしている」

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