Visual Studio Code、タイムラインやリモート開発の支援など機能追加「March 2020」リリース

Microsoftは、クロスプラットフォームエディタ「Visual Studio Code」の最新版「March 2020」リリース(バージョン1.44)を公開。タイムラインの追加やリモート開発の支援など、機能の追加、改善を行っている。

» 2020年04月15日 10時20分 公開
[@IT]

 Microsoftは2020年4月8日(米国時間)、WindowsやLinux、macOSに対応するクロスプラットフォームのエディタ「Visual Studio Code」(以下、VS Code)の最新版「March 2020」リリース(バージョン1.44)を公開した。

 VS Codeのバージョン1.44では、アクセシビリティー、タイムライン、クイックオープン、リモート開発などについて機能の追加、改善を行った。主な改善点は次の通り。

アクセシビリティーの改善

 Microsoftは、コミュニティーからのフィードバックを踏まえ、以下のように、さまざまなアクセシビリティーの問題に取り組んだ。

 例えば、差分表示の機能を追加した。[F7]キーと[Shift]+[F7]キーで変更箇所をナビゲートできるようにし、「Stage」「Unstage」「Revert Selected Ranges」コマンドでステージ、ステージ解除、現在の変更の破棄が可能になった。

 また、ウィジェットにおけるロールをより明確にした。「Suggest」ウィジェットと「Quick Pick」で「listbox」ロールが、静的リストで「list」ロールが、読み取り専用コンテンツ(「ようこそ」やマークダウンのプレビューなど)で「document」ロールが使えるようになった。

「タイムライン」ビュー

 これまでプレビュー段階だった「タイムライン」ビューが正式な機能となり、デフォルトで有効になった。

 この機能では、ファイルの時系列のイベント(Gitコミット、ファイル保存、テスト実行など)を履歴として表示できる。タイムラインはデフォルトで、アクティブなエディタに関する履歴を自動的に更新する。このデフォルトの動作は、「エクスプローラー」ビューの「タイムライン」ツールバーにある目の形をしたアイコンをクリックして、有効/無効を切り替えられる。また、タイムラインは他のビューと同様に、タイピング時のインクリメンタル検索またはフィルタリングに対応している。

 今回のMarch 2020リリースでは、ビルトインGit拡張がタイムラインのソースとして機能し、指定されたファイルのGitコミットの履歴を提供する。コミットを選択すると、そのコミットで行われた変更の差分を表示できる。コンテキストメニューから「Copy Commit ID」や「Copy Commit Message」コマンドを実行することもできる。また、[エクスプローラー]ビューのコンテキストメニューから[Open Timeline]コマンドを指定し、選択したファイルのタイムラインを素早く表示することもできる。

タイムラインビューの実行例(出典:Microsoft)

 まだAPIは提案段階だが、拡張も、追加のタイムラインのソースとして機能することが可能になる。

「クイックオープン」コントロールの改善

 「クイックオープン」コントロール([Ctrl]+[P]キー)はこれまで、「Tree」ウィジェットの旧バージョンを使用してきたが、既にVS Codeで使われている最新の「リスト」コントロールに移行した。Microsoftは「従来のコマンドは全てそのまま機能するので、機能的には、ユーザーはこの移行による違いに気付かないだろう」と述べている。

「クイックオープン」コントロールの表示例(出典:Microsoft)

 さらに、クイックオープンコントロールには次のような機能も追加されている。

ファイルからシンボルへのナビゲート

 ユーザーは「@」をタイプするだけで、ファイル検索結果のシンボルへのナビゲートを継続できる。現在選択しているファイルについては、全てのシンボルが表示され、エディタがバックグラウンドで開いてアクティブなシンボルを示す。

複数の検索キーワードをスペースで区切り、検索結果を絞り込み

 ファイル検索結果が多かった場合、ユーザーはスペースに続けて追加の検索キーワードをタイプすると、検索結果を絞り込むことができる。

検索結果を絞り込む例(出典:Microsoft)

プロバイダーの変更時に入力を再利用可能

 クイックオープンコントロールを表示した状態で、別のプロバイダーに切り替える(「ファイル検索」から「シンボル検索」へなど)と、VS Codeは、プロバイダーの切り替え前にタイプされたフィルターを新しいプロバイダーにそのまま適用する。これによりユーザーは、ファイル検索に使ったタイプ入力をシンボル検索に素早く再利用できる。

アイテムを開いた日時が新しい順にエディタの履歴を並べ替え

 新しい「A new setting "search.quickOpen.history.filterSortOrder": "recency"」設定により、ユーザーは、検索を始めるときも、アイテムを開いた日時が新しい順に、エディタの履歴を並べ替えることができる。デフォルトではエディタ履歴は、使用されたフィルターパターンとの関連度に基づいて並べ替えることができる。

拡張パックの表示の改善

 [拡張]ビューで拡張パックを見分けやすいように、拡張パックに含まれる拡張の数を示す数字のバッジが表示されるようになった。

拡張の数を示す数字のバッジが表示される例(出典:Microsoft)

 拡張の詳細ページでは、拡張パックにバンドルされている全ての拡張が表示されるようになった。

拡張パックにバンドルされている全ての拡張が表示される例(出典:Microsoft)

ファイルを再び開いたときに[元に戻す][やり直し]の履歴を利用可能に

 VS Codeはファイルを閉じるときに、ファイルの[元に戻す][やり直し]の履歴を保持するようになった。ユーザーは、ファイルを再び開いたときに、ファイルが閉じられたときから内容が変わっていなければ、[元に戻す][やり直し]の履歴を使用できる。

 この機能は、開くエディタの数を「workbench.editor.limit.value」設定で制限している場合や、作業中のファイルをうっかり閉じてしまった場合に便利だという。

リモート開発支援する拡張機能の改善

 リモート開発を支援する拡張機能の開発が進んでいる。この拡張機能を導入すると、コンテナやリモートマシン、WSL(Windows Subsystem for Linux)を、全ての機能を備えた開発環境として利用できる。

 March 2020リリースでの「Remote - Containers」拡張の機能ハイライトは次の通り。

  • プルリクエストをコンテナに直接チェックアウトできる
  • Kubernetesコンテナの接続に対応
  • WSL 2でDockerエンジンをサポート(実験的機能)

設定の同期(プレビュー段階の機能)

 VS Codeの設定や拡張機能、キーボードショートカットをマシン間で同期できる機能のプレビュー版が、March 2020インサイダーリリースで利用できるようになった。

設定の同期の使用例(出典:Microsoft)

 このインサイダーリリースでは、以下のUI状態の同期も可能になった。

  • 表示言語
  • アクティビティーバーのエントリ
  • パネルのエントリ
  • ビューのレイアウトと表示
  • 最近使われたコマンド

Pythonの新しいチュートリアル

 Microsoftは、Pythonのチュートリアルを2つ追加した。

  • Python in a container
    DockerコンテナでPythonアプリケーションを作成する方法を学ぶ
  • Python for Data Science
    Pythonのデータサイエンスライブラリを使って、機械学習モデルを作成する

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