Microsoftは2020年5月にサポート終了を迎える「半期チャネル(SAC)」のWindowsについて、「2020年11月」までサポート期限を延長することを発表しました。また、2020年7月に予定されていた「Azure IoT Hub」でのTLS 1.0/1.1のサポート廃止も無期限の延期としました。
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Microsoftは「半期チャネル(Semi-Annual Channel:SAC)」の「Windows 10」について、HomeおよびPro(Pro EducationおよびPro for Workstationsを含む)はリリースから18カ月、EnterpriseおよびEducationは秋のリリースについて30カ月の品質更新サポートを提供しています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大を受け、同社は、2020年4月14日(米国時間)にサポート終了予定だった「Windows 10 バージョン1709」のEnterpriseおよびEducationのサポート期限がさらに6カ月後の「2020年10月13日」に延長することを、2020年3月中旬に発表しました。
また、2020年5月12日にサポート期限を迎える「Windows 10 バージョン1809」のHomeおよびProのサポート期限を、さらに6カ月後の「2020年11月10日」まで延長することも発表しました。
なお、「2021年5月11日」までの30カ月サポートが提供される「Windows 10 バージョン1809」のEnterpriseおよびEducationのサポート期限に変更はありません。同じバージョン/ビルドベースの「長期サービスチャネル(Long-Term Servicing Channel:LTSC)」(メインストリームサポート5年と延長サポート5年が提供)の「Windows 10 Enterprise 2019 LTSC」のサポート期限にも変更はありません。
Microsoftは今回、「Windows Server SAC」についても6カ月のサポート延長措置を発表しました。Windows Server SACはリリース時期やエディション(DatacenterおよびStandard)に関係なく、リリース後18カ月の品質更新サポートが提供されます。
「Windows Server, version 1809」は当初、2020年5月12日にサポート期限を迎える予定でしたが、「2020年11月10日」まで延長されます。Windows Server, version 1809と同じバージョン、ビルドベースのLTSCの「Windows Server 2019」については、サポート期限に変更はありません。
Windows Server, version 1809のサポート期限延長については、以下のサポート情報で説明されています。
このサポート情報には2020年5月にサポート期限を迎える予定だった「Microsoft Endpoint Configuration Manager(Current Branch), version 1810」、2020年10月にサポート期限を迎える予定だった「SharePoint 2010」や「Project Server 2010」など、幾つかの製品やサービスのサポート期限延長や、2021年前半に予定されていた「Exchange Online」での「基本認証」の廃止の無期限延長についても説明されています。利用中の製品やサービスがある場合はご確認ください。
ボリュームライセンス契約者(Windows 10 Enterprise E3/E5など)は「Windows 10マルチホスティング」の権利を利用して、Azure Virtual Machine(Azure VM)として「Windows 10 Pro」(画面1)または「Windows 10 Enterprise」または「Windows 10 Enterprise LTSB/LTSC」を展開して実行できます。
既に「Windows 10 Pro バージョン1809」を展開済みの場合は、後継バージョンに移行することなく、「2020年11月10日」までセキュリティ更新を受け取ることができます。Azure VMとして展開したWindows Server, version 1809も同様です(画面2)。
Azure Marketplaceで利用可能なWindows仮想マシン用のイメージの更新履歴については、以下のサポート情報で確認できます。
Windows 10 Enterpriseマルチセッションまたはシングルセッションでサポートされるのは、Windows 10 バージョン1809以降です。サポート期限延長はHomeおよびProエディションに適用されるものであり、既にWindows 10 バージョン1809で構築済みのWindows Virtual Desktop環境には適用されません。
Azure VMとしてWindows Server, version 1809のコンテナホストを展開した場合、ホストOSを後継バージョンに移行することなく、「2020年11月10日」までセキュリティ更新を受け取ることができます。また、WindowsコンテナのベースOSイメージとしても、このバージョンのNano ServerのベースOSイメージ(:1809タグ)の更新は「2020年11月10日」まで継続されます。
SACであるWindows Server CoreイメージおよびNano Serverイメージの通常のサポート期間は18カ月ですが、Windows Server, version 1809のWindows Server Coreイメージ(:1809タグ)は、LTSCであるWindows Server 2019のイメージ(:ltsc2019)と共通であるため、LTSCのサポート期間中は更新イメージを利用可能です。Nano ServerイメージはSACのみでの提供となるため、通常のSACサポート期間の対象です。
Windowsコンテナの更新履歴については、2020年4月に以下のサポート情報が新設されています(画面3)。
ここまでWindows 10およびWindows Server SACの「バージョン1809」に対するサポート期限延長措置のAzureサービスへの影響をまとめました。この延長措置は、今後の社会情勢の変化により、さらに変更される可能性があることに留意してください。
また、Azureサービス自身においても、今後、サービスや機能の提供、廃止予定の延期もあるでしょう。既に発表されているものとしては、「Azure IoT Hub」で2020年7月1日に予定されていた「TLS(Transport Layer Security)1.0/1.1」サポート廃止の無期限の延期があります。
IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は比較的新しい分野であり、TLS 1.0/1.1の廃止の影響範囲は大きくないと思いますが、サービスを利用していて影響を受けるという場合は新たなスケジュールの発表をお待ちください。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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