IDCが2020年国内ICT市場の支出額を下方修正 新型コロナの状況を反映悲観的シナリオではマイナス9.3%

IDC Japanは、2020年国内ICT市場の支出額を、対前年比6.1%減の27兆8357億円に下方修正した。新型コロナウイルス感染症の状況を反映させた。楽観的シナリオではマイナス3.8%程度に改善する一方で、悲観的シナリオではマイナス9.3%まで落ち込む見込みだ。

» 2020年05月11日 08時00分 公開
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 IDC Japanは2020年5月7日、2020年の国内ICT市場の最新予測を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を反映させた。最新の予測によると、国内ICT市場の支出額は、対前年比6.1%減の27兆8357億円の見込みで、同年4月3日に発表した成長率から1.6ポイント下方修正した。

画像 新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した国内ICT市場の前年比成長率の予測(出典:IDC

 製品セグメント別に成長率を見ると、スマートフォン、PC、タブレットなどのデバイス市場がマイナス24.3%で、前回予測から2.3ポイント下方修正した。サーバ、ストレージ、IaaS(Infrastructure as a Service)、ネットワークなどのインフラ市場は同2.7ポイント減のマイナス3.9%、ソフトウェア市場は同3.4ポイント減の0.6%、ITサービス市場は同1.0ポイント減のマイナス2.8%、通信サービス市場は同0.7ポイント減のマイナス1.2%と予測する。

 こうした成長率の下方修正は、緊急事態宣言の発令によって各自治体からの外出自粛やさまざまな営業活動の休止が強化され、国内の経済活動が冷え込んだことが原因だ。影響は、あらゆる産業に拡大している。

2021年に向けて回復予測

 特にソフトウェア市場は修正幅が最も大きく、2019年並みの市場規模にとどまる見込みだ。ただし、テレワーク環境のセキュリティ対策に加え、サイバー攻撃の継続的な増加で、サイバーセキュリティへの投資は大企業を中心に継続するとIDCは予測する。

 一方、2021年に向けては、機器やインフラ、ソフトウェアの各市場が堅調に回復するとみている。機器市場では、「GIGAスクール」(文部科学省が提言した、生徒1人に対し、端末1台とその端末を活用するための高速ネットワークを整備する計画)対応でPCやタブレットなどが急速に拡大する見込みだ。インフラやソフトウェア市場では、クラウドサービス事業者によって、サーバやネットワークなどに対する継続的な投資が見込める。

 なおIDCは、「今回の予測は、局地的にCOVID-19の感染が再発して回復の阻害要因となるものの、国内外で2020年前半に感染が抑制されて経済活動が正常化し、一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が活性化するとともに、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われることを前提に作成した」としている。

 IDCは、今後の状況によっては、企業や政府、消費者のDX投資が活性化されるという楽観的シナリオも想定している。その場合、2020年の成長率は対前年比マイナス3.8%程度に抑えられるとしている。ただし、感染の収束と経済の回復が2021年中盤以降に持ち越されるという悲観的シナリオでは、成長率は対前年比マイナス9.3%まで落ち込み、今後の状況次第ではさらなる成長率低下の恐れがあるとしている。

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