デロイト トーマツが発表した「デジタル人材志向性調査」の結果によると、非デジタル人材の中にもある程度の割合で潜在デジタル人材が存在するにもかかわらず、企業はこれらの人材に対して機会を十分に提供できていないことが分かった。
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デロイト トーマツは2020年5月26日、「デジタル人材志向性調査」の結果を発表した。デジタル領域で活躍している人材と、今後育成対象となる非デジタル人材の両者の特性と実態を調査した。それによると、非デジタル人材の中にもある程度の割合で潜在デジタル人材が存在するにもかかわらず、企業はこれらの人材に対してデジタル領域に関わる機会を十分に提供できていないことが分かった。
今回の調査結果によると、デジタル人材の人口規模は約367万人と推計される。これは、日本の就業者人口約3000万人の約12.3%に当たる。ただし、現在もデジタル業務に従事しているのは約211万人(57.6%)。年代別では、年代が上がるほどデジタル人材の割合は低くなる傾向にあり、最も割合が高い20代では14.1%、最も低い50代では10.5%だった。
デジタル人材のうち、「3年以内の離職意向がある」と回答した割合は31.1%。その理由で最も多かったのは「報酬が低いから」(23.9%)で、次いで「納得感のある評価がされないから」(20.6%)だった。年代別では20代が特に高く、48.1%が3年以内の離職意向を持っていた。これに対して50代は18.8%だった。
デジタル人材の報酬は非デジタル人材の報酬と大きく変わらず、外国と比べるとデジタル人材の報酬水準は低い。デロイト トーマツは「デジタル人材獲得の上で優位性を持つためには、業務別人事制度の導入が喫緊の課題だ」としている。
36項目のカテゴリーによってデジタル人材のペルソナタイプを分析すると、デジタル人材は「ビジョナリー・チャレンジャー型」「成果志向チャレンジャー型」「コラボレーション重視型」「仕事推進型」「コンサバ型」の5つに分類された。
非デジタル人材の中にもデジタル領域に関心を示している人がある程度存在した。非デジタル人材のうち、デジタル領域に「関わりたい」または「どちらかというと関わりたい」と回答した割合は13.9%。行動や意識特性の適合性をデロイト トーマツが分析したところ、有力な育成候補者となる「潜在デジタル人材」の割合は19.8%だった。
こうした潜在デジタル人材が存在するにもかかわらず、企業はこれらの人材に対してデジタル領域に関わる機会を十分に提供できていない。非デジタル人材に対して、異動や職種変更でデジタル業務に関与する機会があるかどうかを聞いたところ、「ない」または「分からない」と回答した割合が85.6%を占めた。デジタル領域のトレーニング機会や支援の有無についても、「ない」または「分からない」が89.1%に及んだ。
デロイト トーマツは今回の調査結果を受けて、「新型コロナウイルス感染症下では現行社員を最大限有効活用すべきで、デジタル人材の内製化は企業の必須課題だ。全社でデジタル化を進め、デジタルリテラシーの向上に向けた活動を加速させることが肝要だ。能力の高い人材のマインドシフトを図りながら育成し、トレーニング機会を提供することで、企業は非デジタル人材を戦力化できる」と提言している。
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