失敗するWindows 10の「システムイメージの作成」をwbadminツールで代替する山市良のうぃんどうず日記(180)

Windows 10は、Windows Vista/Windows Server 2008と共通の技術を用いたイメージベースのバックアップと復元機能(「Complete PC Backup」とも呼びます)を搭載しています。この機能は既に開発終了扱いとなり、推奨されなくなっているため、問題が起きても迅速な対応は期待できないかもしれません。万が一のためのバックアップが、万が一動かなかったときに備え、コマンドライン版の「wbadmin」ツールの存在を頭の片隅にでもとどめておきましょう。筆者は何度かこれに救われました。

» 2020年06月10日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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山市良のうぃんどうず日記

「システムイメージの作成」が原因不明のエラーでバックアップ不能に

 「Windows 10」が備えるレガシーなイメージベースのバックアップ機能は、コントロールパネルに「バックアップと復元(Windows 7)」や「システムイメージの作成」(以下、「システムイメージの作成」)という名前で残されています。

 「設定」アプリの「バックアップ」にある「ファイル履歴」は、ZIPアーカイブによるデータのバックアップ用であり、システム全体のバックアップには対応していません。「設定」アプリの「バックアップ」には「以前のバックアップをお探しですか?」のところにレガシーなバックアップ機能へのリンクがあります(画面1)。

画面1 画面1 Windows 10の「ファイルの履歴」はWindows 8からのデータ用の新しいバックアップ機能。システム全体のバックアップが取得できる標準のツールはコントロールパネルの「バックアップと復元(Windows 7)」にある

 「Windows 7」のサポートが終了した今となっては、「バックアップと復元(Windows 7)」という名前や、「Windows 7のバックアップと復元ツールで作成したバックアップは、Windows 10でも使用できます」という説明は利用者を混乱させるかもしれませんが、Windows 7の「バックアップと復元」と機能は変わりません。

 「システムイメージの作成」を利用すると、C:ドライブおよびOSの起動に不可欠なパーティションを「ボリュームスナップショット(VSS)」で取得し、別のディスク(USB外付けHDDなど)や書き込み可能な光学メディア(複数枚のDVDなど)、ネットワーク共有にバックアップを作成することができます。バックアップ先が常に利用可能な状態にあるなら、バックアップをスケジューリングして自動化することも可能です。

 作成したバックアップを使用すると、起動しなくなったシステムや故障したディスクを新しいディスクに交換した場合(ただし同じ容量か、より大きな容量に)などに、高速にシステム全体を復元することができます。

 復元時には、Windows 10の回復オプションの「イメージからシステムの修復」(画面2)や「システム修復ディスク」(recdisk.exeで作成可能)、「回復ドライブ」(RecoveryDrive.exeで作成可能)から起動して、バックアップを選択しイメージを復元します。

画面2 画面2 Windows 10の回復オプションの「イメージからシステムを回復」を使用すると、作成済みのバックアップからイメージの高速な再適用でシステム全体を復旧できる

 筆者は別のバックアップ方式を利用したデータの計画的な(自動化された)バックアップとは別に、全ての物理PCで「システムイメージの作成」で数カ月に一度、フルバックアップを作成しています。特に、半年に一度の機能更新プログラムの前月(または直前)には欠かさないようにしています。

 ご存じの方も多いと思いますが、「システムイメージの作成」機能はWindows 10 バージョン1709で開発終了扱いとなり、推奨されない機能になりました。将来のWindows 10のリリースでは、この機能は削除される可能性があるため、サードパーティーのバックアップツールを利用することが勧められています。以下のドキュメントの「System Image Backup(SIB)Solution」がこの機能に相当します。

 最新の「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)」では、この機能はまだ健在であり、筆者がWindows 10の完成版ビルド(19041.208)で試した限りでは、この後説明するように例外もありましたが、バックアップ、復元ともに正常に機能しました。

「システムイメージの作成」が原因不明のエラーでバックアップ不能に

 「システムイメージの作成」は開発が終了し推奨されなくなった機能であるため、万が一問題が起きても、Microsoftによる迅速な対応は期待できないと思っておいた方がよいでしょう。

 先日、機能更新の繰り返しでディスクの先頭に無駄な空のパーティションができてしまい、それを削除するために「システムイメージの作成」を用いてバックアップを取得しようとしたところ(パーティションを手動で作成して、C:ドライブのみをバックアップから書き戻す予定)、「0x81000036」という原因不明のエラーが発生し、バックアップ用のディスクを選択できないということがありました。代替策としてネットワーク共有を選択しようとしたところ、今度は「パラメーターが間違っています。(0x80070057)」というエラーで失敗してしまいます(画面3)。

画面3 画面3 「0x81000036」という原因不明のエラーが発生し、バックアップ用のディスクの検索に失敗

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