特許庁は、AI関連特許出願件数の調査結果を発表した。2018年のAI関連特許出願件数は4728件。AI関連出願が増加している最大の要因は深層学習で、2018年にはAI関連出願のうち機械学習関連が85%を占めた。
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特許庁は2020年7月27日、AI(人工知能)に関連する国内外での特許出願件数の調査結果を更新した。2020年4月までに新たに公開された出願データを反映させた。
国内のAI関連特許出願件数は、2013年までは毎年1000件前後で推移していたが、2014年以降に急増し、2017年は3065件、2018年は4728件に上る。その間、国内全体の特許出願件数は毎年微減で推移しているので、特許出願件数の変化率はAI関連だけが突出して増加している。
AI関連特許出願件数の前回の山は、1991年をピークとした第2次AIブーム時。このときのAIは専門知識を基に動作するコンピュータシステムである「エキスパートシステム」が主流だった。これに対して2014年以降は、ニューラルネットワークを含む機械学習が中心で、第3次AIブームと呼ばれる。2018年には、AI関連出願のうち機械学習関連が85%を占めるほどに増えている。
機械学習技術の中でも深層学習(ディープラーニング)技術の出願状況の推移を見ると、深層学習が、AI関連出願が増加している最大の要因であることが分かる。2013年にはAI関連出願総数の963件中深層学習関連が18件(1.9%)だったものが、2014年は1084件中53件(4.9%)、2016年は1858件中567件(30.5%)、2018年は4728件中2474件(52.3%)と急増した。
深層学習技術の中でも、画像認識処理で多用されるCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)の件数が目立つ。2018年は1185件だった。これに対して音声認識やテキスト処理に利用されるRNN(Recurrent Neural Network:再帰ニューラルネットワーク)やRNNの拡張であるLSTM(Long Short Term Memory:長短期記憶)は563件、システム制御や最適化と親和性が高い深層強化学習は75件だった。
AIの適用分野を見ると、2018年は「AIコア」が最も多く、703件(14.9%)。次いで「画像処理」の653件、「情報検索・推薦」の432件、「情報一般」の372件と続く。「音声処理」は148件、「映像処理」は94件、「自然言語処理」は92件だった。なお、ここでいうAIコアは「ニューラルネットワーク、深層学習、サポートベクターマシン、強化学習等を含む各種機械学習技術の他、知識ベースモデルやファジィ論理など、AIの基礎となる数学的又は統計的な情報処理技術に特徴を有する発明」と定義されている。
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