プレゼンテーションのオーディエンスは今や、プレゼンターが常に楽しませ、魅了してくれると期待する。CIOが自らのアイデアへの支持を取り付けるには、効果的なコミュニケーションテクニックを学び、実践しなければならない。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
CIO(最高情報責任者)が、IT部門や自身が戦略的パートナーとして認められることを目指すなら、テクノロジーによってどのように売上高を伸ばし、ビジネスを変革できるかという魅力的なビジョンを伝える必要がある。CIOには強力なアイデアと、人々を納得させる強力なプレゼンテーションスキルが必要だ。
「優れたコミュニケーションスキルは成功に欠かせない」と、Gartnerのアナリストでシニアディレクターの、エド・ガブリス(Ed Gabrys)氏は語る。
「だが、多くの人がアドリブでも構わないと、あるいは“そこそこの”プレゼンテーションでやっていけばよいと考えている。聴衆はより多くを期待しており、これでは聞くのをやめてしまう。ガートナーの調査によると、95%近くの人が会議中に別の仕事をしていると認めている」(ガブリス氏)
“そこそこのプレゼンテーション”では、CIOにとって芳しくないのは明らかだ。TED(Technology Entertainment Design)のカンファレンスでの講演がインターネットで配信され、世界中で視聴できるようになったことから、どこでも、どんな文脈でも、プレゼンターに期待する水準が上がっている。プレゼンテーションは、もはや明確で正確なだけでは不十分だ。人を引き付け、共鳴させるものでなければない。そうでなければ、聴衆はポケットからパーソナルデバイスを取り出し、それに見合うものを探せばいいのだ。
聴衆を引きつけるには、以下に示すコミュニケーションのベストプラクティスを実行するとよい。
プレゼンテーションが続く時間が、10分か20分か、40分かにかかわらず、オーディエンスはある時点でスマートフォンをチェックしたり、To-Doリストに項目をメモして聞き流したり、別の仕事をしたくなる。インタラクションを通じて、聴衆のこうした注意散漫な状態を克服できる。
聴衆が2人でも200人でも、短いインタラクションの機会を設けると、プレゼンターに注意を向け直すように促す効果がある。インタラクションは、人々を受動的に聞くモードから反応や応答をするモードに変える。次の方法でインタラクションを行うことを考えよう。単純なものからより複雑なものへと並んでいる。
プレゼンターは、多くの時間を費やして言葉を選ぶ。そうであってしかるべきだ。そうであるなら、プレゼンターはこれと同じくらいかより多くの時間をかけて、話すときのスピードや抑揚、物理的なジェスチャーなどに注目して、賢明な伝え方を見いださなければならない。言葉とその伝え方の組み合わせが意味を届けるからだ。
例えば、「オーケイ」というシンプルな言葉の意味が言い方によってどう変わるか、10代の頃の自分を想像して考えてみよう。「オーケイ!」と快活に、語尾が少し弾むように言うと、わくわくして意気込んでいることが伝わる。「オーケイ。映画館まで友達も一緒に乗せてって」といった具合だ。あるいは、「オーケイ」の語尾の「エイ」を延ばして抑揚を下げると、気が進まず、仕方なく返事をしているのが露骨に伝わってしまう。「オーケーイ。食洗機の食器を片付けるよ」といった場面にありがちなパターンだ。
プレゼンテーションを行うときも、トーンや抑揚によって伝わる意味が変わってくる。このため、自分のコアメッセージは何か、自分は何を伝えたいかを考える必要がある。テーマは重大な、あるいは人を触発するものだろうか。ユーモラスな、あるいは感情的なものだろうか。自分の意図を明確にし、以下のようなテクニックを活用して、それらを強調するとよい。
優れたプレゼンテーションはビジュアルを必要としない。聴衆を魅了するのに必要なのは、言葉をうまく選び、効果的に伝えることだけだ。
ビジュアルを求めるプレゼンターは、自分のメッセージを補完または強調するためにそれを使うべきだ。ビジュアルが、聴衆の注意をメッセージからそらしてはならない。一般論としていえるのは、「ビジュアルはビジュアルにすぎない」ことを念頭に置くことだ。ビジュアルには写真、グラフィックス、ビデオクリップ、アニメーション、データ表現など、さまざまなものがある。スライド内の言葉は、最小限にとどめるべきだ。オーディエンスは、プレゼンターの話に耳を傾けるか、スライドを読むかのどちらかに集中してしまう。話を聞かないきっかけを与えてはならない。
ビジュアルを使う際のベストプラクティスは、以下を徹底することだ。
出典:A CIO’s Checklist for Better Presentations(Smarter with Gartner)
Former Analyst, Gartner associate
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