サークレイスは社名と同名の統合型カスタマーサクセスプラットフォーム「Circlace(サークレイス)」を発表。顧客とのやりとりを統合することで、工数の削減やデータ利活用が見込めるという。
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サークレイスは2020年8月20日、会見を開き、社名と同名の統合型カスタマーサクセスプラットフォーム「Circlace(サークレイス)」を発表した。同社は2020年7月1日に社名をパソナテキーラから変更している。2012年の創業当初は「Salesforce」などのSaaS製品の導入、設計、開発、保守運用サポートなどのサービスを提供していた。
同社代表取締役社長 佐藤潤氏は「創業当時はIT人材不足から、人材増を前提とした経営計画の見直しを迫られたり、顧客増加に従う顧客ニーズや状況把握の不足からトラブルが増えたりするといった問題を抱えていた。2016年7月に『全ての顧客接点をデジタル化する』という目標を掲げ、全ての顧客接点情報を集約するプラットフォームの開発に着手した」と語る。
そこで開発したのがCirclaceだ。同社は複数のSalesforce関連サービス、他事業のサービスの一部でCirclaceを適用したところ、工数の大幅削減やデータベースの統一、顧客や業務理解の深化などのメリットを得られたという。
「われわれがCirclaceを開発、使用、ブラッシュアップし、ビジネスを成功させた上で、顧客に導入してほしいと4年間試行錯誤してきた。ノウハウが詰まったCirclaceを使うことで顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援できると考えている」(佐藤氏)
ではサークレイスが提供する統合型カスタマーサクセスプラットフォームとはどういったものなのか。同社マーケティング部の杉山弘治氏はカスタマーサクセスについて次のように説明した。
「顧客が契約した商品/サービスに関して、顧客の課題解決や意見を吸い上げてプロダクトへフィードバックし、改善させていくことが、カスタマーサクセスの役割。カスタマーサクセスは商品開発の要で、顧客と対話することで自社商品が抱えている問題点や課題を知ることができる。カスタマーサクセスの手助けをするのが、カスタマーサクセスプラットフォームだ」
同社が提供するカスタマーサクセスプラットフォームは、顧客ユーザーとサービス提供者のやりとりを統合するものだという。杉山氏は、導入済みのプロジェクト管理、ナレッジ管理、問い合わせ管理などのツールが1つのプラットフォームに統合されるため、顧客管理に必要な工数の削減が可能になると紹介した。集約した各サービスのデータを基に高度なビジネス判断をするための分析や、AI(人工知能)を利用したデータ活用もできるという。
続けて杉山氏はカスタマーサクセスプラットフォーム市場について説明した。Markets and Marketsの調査によると、カスタマーサクセスプラットフォーム市場は、世界では2019年時点で854億円の市場があるという。2024年までの年間複合成長率は25.5%、2024年には2664億円の市場規模に成長すると予想されていると語り、杉山氏は市場規模が拡大傾向にあることを示した。
次に、Circlaceの技術面について同社CDO(Chief Digital Officer)の井上賢氏が解説した。
「Circlaceは、サービス志向のアーキテクチャとマイクロサービスから成り立っている。サービスをモノリシックにまとめず、サービスごとにある各APIを通じて連携するような形にしている。ブロックチェーンを導入し、ユーザーの行動に関する情報にひも付けることで改ざん耐性を高めている」
また、顧客とのメールやチャットなどのやりとりを蓄積させて外部のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどと連携させることで経営の意思決定に使用することもできるという。
「データのスナップショットを活用して分析に用いることも可能だが、将来の問題抑制や効率化のためのデータ活用もできる。データが蓄積されると、教師あり学習による顧客状況の未来予測や、教師なし学習による問い合わせ内容のグルーピング判定、強化学習による適切な照明の明るさや温度予測などに応用できる」(井上氏)
今後、機能強化においては、特定の顧客がすぐに使えるテンプレートを実装した「プロジェクトの再利用機能強化」や、「再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、長・短期記憶(LSTM)による自然言語処理(NLP)の導入」などを2020年下半期に実装予定としている。
営業目標としては、5年後の2024年度に2400社、6万ユーザーへの導入を目指す。近い将来のマザーズ上場を見据えているという。
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