ポストコロナのIT業界とエンジニアの生き残り術を模索する特集「ポストコロナのIT業界サバイバル術」。第4弾は、エンジニアの生き残り戦略です。
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こんにちは、Web面接サービスを提供している「スタジアム」の執行役員 CTO(最高技術責任者)、cnosukeと申します。シャケ狩りが日課です。
年初よりの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、雇用が減少しているという話は皆さんも各種報道でご存じだと思います。
転職サイトのdoda(デューダ)が定期的に公表している「転職求人倍率レポート」の2020年6月版(2020年7月20日発表)によると、全職種での求人倍率は2020年4月までは「2.5倍以上」でしたが、4月中の非常事態宣言を受けて、5月以降は一気に低下し、最新の6月の数字では「1.66倍」まで急低下しています。
では、私たちエンジニアの状況はどうでしょうか。
エンジニアの雇用状況は、コロナ禍以前は他職種と比較できない特殊なものであり、2019年12月の求人倍率は「11.36倍」というすさまじい数値でした。
この倍率がコロナ禍を受けてどうなったかというと、2020年6月は「7.05倍」と、大きく低下しています。低下しても7倍以上あるので、相変わらずどこもかしこもエンジニア不足で、引き続き採用を行う企業が多い様子です。
しかし、私の周りにいる大手Web企業のエンジニア何人かに話を聞いてみたところ、採用状況に多少変化が出てきているようです。具体的には、これまでよりも採用基準を上げる企業や、Web中心での採用フローがうまく定着するかどうか見極めるために、しばらくの間はこれまでよりも採用ペースを落とすつもりだ、という企業もありました。
また、例えばGoogleが年内の採用ペースを鈍化させるといった報道が出ているように、今後の社会情勢がどうなるか見極めができないことから、多少保守的に採用戦略を見直す超巨人Web企業が出ている様子です。
Web企業のエンジニアと話して感じるのは、ここ数カ月、業務委託やSES(準委任契約)、派遣の形態を始めとした、外部エンジニアへの委託量を減らす企業が増えていることです。今回のような社会情勢になると、リソース調整がしやすい領域――外部発注を減らす傾向が大きくなることは想像に難くないでしょう。
しかし、外部エンジニアへの発注量が減る一方で、全く影響を受けていないエンジニアもいます。彼らに共通する要素は、特定領域に専門性があることです。
多くのエンジニアができる交換可能な技術要素しか持っていないと、景気が短期でショックを受けるときにはバサッと切られて、景気が良くなってきたら似たようなことをできるエンジニアに差し替えられるのです。「流動性の高いリソース」という見られ方をされているのだと思います。
一方の専門性が高いエンジニアは、企業にとって一度手放すと再度似たような人を見つけることが非常に困難な存在です。多少、景気の不透明性があっても「いったん契約を切ろうか」とはならないのです。
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