高度差約1600メートルでの目視外ドローン輸送、楽天が長野県白馬村で実証実験に成功徒歩で約7時間をドローンを使って約15分に短縮

楽天はドローンを活用した目視外飛行での物資配送の実証実験に成功した。長野県の白馬岳登山口にある「猿倉荘」から、山頂の山岳宿舎「白馬山荘」と白馬岳頂上宿舎までの間の高度差約1600メートルで実施した。

» 2020年09月23日 08時00分 公開
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 楽天は2020年9月18日、ドローンを活用した目視外飛行での物資配送の実証実験に成功したと発表した。「白馬村山岳ドローン物流実用化協議会」の一員として、長野県の白馬岳登山口にある「猿倉荘」から、山頂の山岳宿舎「白馬山荘」と白馬岳頂上宿舎までの間で実施した。

 今回の実証実験は、山岳エリアでの物資輸送に関する課題解決を目的として、2020年8月中旬から9月中旬にかけて実施。離陸地点となる猿倉荘の標高1250メートル。一方の着陸地点となる白馬山荘と白馬岳頂上宿舎の標高はそれぞれ2832メートルと2730メートルで、離陸地点と着陸地点の高度差は約1600メートル。輸送における飛行距離は片道約5キロとなる。荷物を人が背負って徒歩で荷揚げすると約7時間かかるところをドローンでは約15分に短縮でき、振動によって傷みやすい桃や梨など最大5キログラムの物資を、傷つけずに配送したという。復路となる白馬山荘から猿倉荘へは、建築廃材などを配送ボックスに積み込んで配送した。

長野県白馬村におけるドローン配送の様子(出典:楽天)

山荘間での物資輸送の課題、今後の展開

 これまで白馬村では、山荘間での物資輸送が課題となっていた。険しい道のりを人が徒歩によって荷揚げするのは危険が伴う。ヘリコプターによる輸送では、費用が高いことに加え、天候不順時には飛行不可能になることもある。物資輸送が滞ると山小屋が孤立してしまうため、白馬村山岳ドローン物流実用化協議会では2018年から、ドローンを活用した物資配送の実証実験に取り組んできた。楽天は、2020年に同協議会に参画し、ドローン配送ソリューションを提供している。

 なお楽天は今後、今回の実証実験で得た知見を全国の山岳エリアでのドローン配送ソリューションの提供拡大に向けて生かし、サービスの提供や実証実験を重ねながら、ドローンを活用した物流サービスの社会実装に取り組むとしている。

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