日本オラクルは、コロナ禍の日本における働き方とAI(人工知能)利用実態に関する調査の結果を発表した。2020年は最もストレスを感じる年だと回答した割合は61%。メンタルヘルス支援として、人よりもロボットを望む割合が高かった。
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日本オラクルは2020年11月4日、コロナ禍の日本における働き方とAI利用実態に関する調査の結果を発表した。それによると「2020年は最もストレスを感じる年だ」と回答した割合は61%だった。
今回の調査で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるストレスと不安の増加が、日本の従業員にメンタルヘルス面で悪影響を及ぼしていることが明らかになった。悪影響を受けていることとして、「ストレスの増加」と回答した割合は37%、「ワークライフバランスの喪失」は30%、「社交がないことによる気力減退」は20%、「極度の疲労(燃え尽き症候群)」は16%だった。
COVID-19のまん延によって新たに生じたプレッシャーとしては、「業績基準の達成」を挙げた割合が48%、「不公平な報酬」が39%、「薄いチーム関係」が39%、「職場でのバイアス」が38%、「退屈なルーティーン作業の処理」が38%、「管理不可能な仕事量のやりくり」が35%、「マネジャーサポートの欠如」が33%、「上司からの非現実的な期待」が30%だった。
こうした新たなストレスに対して、従業員はメンタルヘルスへの支援を求めていることが分かった。「自分の会社が今以上に従業員のメンタルヘルスを守る必要がある」と回答した割合は74%に達し、33%の企業は実際にメンタルヘルス支援を追加した。
ただし、頼りたいのは人ではなく「ロボットやAI」のようだ。
メンタルヘルスのサポートを「カウンセラーやセラピストといった人に頼りたい」と回答した割合が13%だったのに対して、「仕事上のストレスや不安を上司よりもロボットやAIに話したい」と回答した割合は49%。その理由として、「ロボットやAIはジャッジメントフリーゾーン(無批判区域、決めつけのない環境)を与えてくれる」(42%)や、「問題を共有する上で先入観のない感情のはけ口を提供してくれる」(27%)、「医療に関する質問に迅速に回答してくれる」(26%)などが挙げられた。
自社にどういったメンタルヘルスをサポートする技術を取り入れてほしいか聞いたところ、回答が多かった順に、「プロアクティブな医療モニタリングツール」(27%)、「医療リソースへのセルフサービスアクセス」(24%)、「オンデマンドカウンセリングサービス」(21%)、「医療に関する質問に答えるチャットbot」(20%)、「健康または瞑想(めいそう)アプリへのアクセス」(18%)だった。
COVID-19対策として導入したリモートワークによって生産性がどのように変化したかを聞いたところ、「生産性が下がった」と回答した割合は、世界平均が36%だったのに対して日本は46%。「生産性が上がった」と回答した割合は、世界平均が41%で日本は15%だった。
労働時間については、「リモートワークで減った」と回答した割合は、世界平均の25%に対して日本では34%。「増えた」と回答した割合は、世界平均の52%に対して日本では21%。
こうした結果から日本オラクルは、「企業の生産性は労働時間と個人の生産性の掛け算であることから、日本以外の多くの国では労働時間が増えて企業の生産性が上がっているのに対し、日本は個人の労働時間が減ったことで企業全体の生産性が大きく下がる傾向を示している」と分析している。
「職場でAIを活用している」と回答した割合は、世界平均の50%に対して日本は26%。一方で、「コロナ禍によりAIツールへの投資を加速する」と回答した割合は日本が44%。特に経営者層は63%、部長クラスは58%を占めており、経営層のAIツールへの投資意欲が高まっている。
職場でのロボットやAIへの受容度については、日本は世界平均並みだった。職種別ではアシスタント(85%)、セラピスト/カウンセラー(82%)、同僚(80%)、部門長(75%)、最高財務責任者(CFO)(70%)、マネジャー(69%)、最高経営責任者(CEO)(66%)といった職種で受け入れられると回答した。
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