東芝は、通常の可視光カメラで撮影した画像から、不規則に積み重なった物体の個々の領域を高精度に推定するAIを開発した。他の物に遮られて部分的にしか見えなくても、その物体を認識する。
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東芝は2020年11月30日、通常の可視光カメラで撮影した画像から、不規則に積み重なった物体の個々の領域を高精度に推定するAI(人工知能)を開発したと発表した。「自動荷降ろし」などのロボットに適用すると、荷降ろしやピッキングを正確にできるようになるとしている。
東芝が開発したAIは、物体の形などの特徴を基にして他の物に遮られて部分的にしか見えなくても、その物体があることを認識する。これまでも同様なAIはあったが、「3次元センサー」を用いる必要があり、センサーのコストと事前学習で必要となる3次元データの収集負担が高いという課題があった。
今回開発したAIは、通常のカメラで撮影した画像を使用するため、事前学習の手間を大幅に削減できるという。この場合、複数の物体が大きく重なった場合にAIが1つの物体であると誤認してしまう可能性があったが、物体の候補を点で推定する「物体領域抽出方式」を開発することで、個々の荷物を高精度に推定できるようにした。
東芝が開発した方式は、事前学習済みのニューラルネットワークを使って、画像内の画素単位で物体の特徴を示す「特徴値」を求める。特徴値が似ている画素をまとめて、その中の代表的な点を物体の「候補点」とし、候補点に対する物体の領域を画素ごとに調べる。こうすることで、従来の方式よりも微小な範囲で物体を推定できる。東芝は「実証実験では、推定精度を従来方式から45%改善し、世界トップの性能を達成した」としている。
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