モデルとしてキャットウォークを歩くのは楽しいが、今はコードを書くことが楽しいGo AbekawaのGo Global!〜Jonas Rydenhag編(後)(1/2 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。退職する前任者に代わり、八楽のエンジニアリングを支える存在になったJonas Rydenhag(ヨナス・リデンハグ)氏。ファッションモデルの経験を持つ異色のCTOが考える「成長するための7つの習慣」とは何か。

» 2021年02月16日 05時00分 公開

 世界で活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。前回に続き八楽のCTO(最高技術責任者)、Jonas Rydenhag(ヨナス・リデンハグ)氏に話を聞く。ヨナス氏が考える「成長するための7つの習慣」とは何か。聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

「翻訳者ではない人に向けた翻訳システム」を開発

阿部川“Go”久広(以降、阿部川) ヨナスさんは2010年8月から八楽で仕事を始めました。具体的には何をされていたのですか。

ヨナス氏 当時八楽は、アニメ関連のイベントやフォーラム向けの翻訳ソフトウェアを提供していました。外国人がイベントでポストしたメッセージを、自動的に英語やフランス語などに翻訳します。

阿部川 ヨナスさんもその開発に携わったのですか。

ヨナス氏 はい。私が担当したのは画像をアップロードする機能です。アニメファンが描いた漫画や撮影した写真などをアップロードできます。特にフランスの方は日本の文化や漫画に興味があり、アニメに関連するグッズに人気がありました。ただ、当時は手軽にeコマースを利用できませんでしたので、そういった需要に応えるために手軽にeコマースが利用できるソフトウェアを開発しました。

阿部川 ヨーロッパの、特にフランスにはアニメファンが多いですからね。八楽が提供する主要なソフトウェアは翻訳ですが、他の翻訳ソフトウェアと比べてどんな特徴があるのでしょうか。

ヨナス氏 「翻訳者ではない人に向けた翻訳システム」が特徴です。翻訳システムの市場には、大手が出している翻訳ソフトウェアが幾つかあります。ただ、それらは値段が高く、翻訳に慣れていない人が使いこなすには訓練が必要です。プロの翻訳者が使うには問題ありませんが、中小企業であれば「他のメンバーよりも少しだけ英語を話せる、書ける」といった人が1人で担当しているケースは少なくありません。八楽のソフトウェアはプロの翻訳家ではない人でも翻訳業務そのものをシンプルに手ごろな価格で使ってもらうことを考えて開発しています。

とにかくコードを書くことが楽しい

阿部川 八楽のCTOをなさっていますが、CTOの一番大切な仕事は何だとお考えですか。

ヨナス氏 チームをリードすること、チームをサポートすることだと思っています。ブレストに参加して意見を言ったり、開発チームのミーティングで実現可能な解決策を提示したり、コードをレビューしてアドバイスしたりしています。私はマイクロマネジメント(上司が部下に事細かに指示するマネジメント)を好みません。どちらかといえばメンバーをサポートする方が得意です。

画像 Jonas Rydenhag(ヨナス・リデンハグ)氏

 DevOpsなど、新しい技術に関して常にアンテナを張り、いち早く吸収して皆に伝えるということも大切な役割です。プログラマーだったときも、多くのデザインのパターンやコードの文法などを学んで伝えてはいましたが、現在はDevOpsの視点で、よりダイナミックなストラクチャは何かといったことを考え、リードしています。

阿部川 ヨナスさんがプログラミングすることはありますか。

ヨナス氏 はい、たまにですが。数年かけて進行させているプロジェクトの中には、レガシーなプログラミング技術を利用しなければならない箇所があるのでサポートします。ただ、それがなくてもプログラミングはしたいですね。コードを書くことは楽しいですから(笑)。

阿部川 素晴らしいですね。今後はどういった部分に力を入れる予定ですか。

ヨナス氏 インフラです。インフラに関連する技術は進歩し続けており、今後も効率的にソフトウェア開発を進めるためにはインフラの強化が欠かせません。サーバのインフラを改善してデータやユーザー管理などシステムの最適化を進めていきます。

効率的なプログラミング環境構築はコロナ禍でも有効

阿部川 コロナ禍でビジネスの世界にさまざまな影響が出ていますが、ヨナスさんの業務に変化はありましたか。

ヨナス氏 ステイホームになって、皆が自宅で業務をすることになったのは大きな変化ですね。ただ、業務をする上ではそれほど影響は出ていません。チームを率い始めたころから、開発者が集中できるよう社内でのチャットのシステムを活用し、その人のデスクに行かなくてもチャットで解決できるような運用をしていましたから。

 ロジックを考えているときの頭の中は、本当にいろいろなことが交錯していて、コンピュータのメモリが動作しているようなものです。そんなときに誰かに邪魔をされると、せっかくのアイデアが雲散霧消したり、それをまた思いだすのに長い時間がかかったりします。

阿部川 なるほど。プログラミング中、お互いが邪魔にならないようにコロナ禍以前から対策をしていた、ということですね。

画像 阿部川“Go”久広(取材はリモートで実施)

ヨナス氏 はい。社内の人だけではなく社外とも、「GitHub」やプロジェクト管理ツール「Jira」などを使って従来通りの業務ができています。Jiraではチケット(要望や問い合わせ)のデータを履歴として残していましたから、コロナ禍であっても社外とのやりとりが埋もれることはありません。

 働き方という意味では変化はありませんが、以前は「出社が基本でリモートがサブ」だったものが「リモートが基本で出社がサブ」に入れ替わった感じはしますね。

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