プログラミング言語「Rust」とそのエコシステムを支援する独立非営利団体「Rust Foundation」の設立が発表された。巨大IT企業の金銭的な支援を受けており、「本番環境に対応できるエンタープライズ技術としてのRustの進化」を表しているという。
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オープンソースのプログラミング言語「Rust」を開発するRust Core Teamは2021年2月8日(米国時間、以下同じ)、Rustとそのエコシステムを支援する独立非営利団体「Rust Foundation」の設立を発表した。
Rust Foundationは「大規模な参加型オープンソースのエコシステムの維持拡大に向けた新たな取り組み」を進めるとうたっている。「良いソフトウェアは、充実したサポートを受けるハッピーな人々によって作られる」というメッセージを掲げ、Rustプロジェクトの開発とガバナンスを担う一連のメンテナーのサポートに力を入れていく。
Rust Foundationの設立メンバー企業はAmazon Web Services(AWS)、Google、Huawei Technologies、Microsoft、Mozillaの5社。
Rust Foundationが2021年2月9日に開催した初のボードミーティングには、10人のディレクターが参加した。このうち5人はこれら5社の代表で、他の5人はRustプロジェクトのリーダーだ。リーダーのうち2人はRust Core Teamを代表し、他の3人はそれぞれRustプロジェクトの信頼性、品質、コラボレーションの各分野を代表している。
Rustプロジェクトの生みの親であるMozillaは、「crates.io」パッケージレジストリを含む全ての商標とインフラ資産をRust Foundationに譲渡済みだ。Rust Foundationの設立メンバー企業は、Rustプロジェクトメンテナーへの支援を目的とした、2年にわたる年間100万ドル以上のサービスとプログラム、イベント開発予算を確約している。
Rust Core Teamは、今回の発表について次のように説明している。「Rust Foundationの設立は幾つかの点で、Rustの成長の大きなステップとなる。中でも、業界をリードする大企業数社からの金銭的なコミットメントは、本番環境に対応できるエンタープライズ技術としてのRustの進化を告げている。われわれの設立スポンサーは熱心かつ意欲的にプロジェクトに参加し、現在のようなRustの維持と存続を約束するだけでなく、Rustの価値を支持し、Rustが目指す未来を築く責任を全面的に共有している」
Rustプロジェクトは、2010年にMozilla Researchプロジェクトとして最初に構想された。2015年のRust 1.0のリリースを機に、Mozillaから独立したプロジェクトの運営とガバナンスを確立している。それ以来、自律した活動を進め、Mozillaが財務面と法務面で同プロジェクトを一貫して支援してきた。今後、Rust Foundationは完全に独立した組織として活動していく。
Rust Core Teamは2020年8月にRust Foundationの設立計画を発表し、次のように説明していた。「Rustプロジェクトの規模拡大と成熟化、そしてRustの利用が進むとともに、既存のプロジェクト組織では対応できない法務上と財務上の問題が出てきた。そこで2019年から、独立したRust Foundationの設立に関する調査、検討が始まっている。その結果を基にこのたび、Rust Foundationの設立計画発表に至った。2020年末までの立ち上げを目指す」
Rustは安全で効率の高いプログラミング言語として人気を集めており、開発者向けQ&Aサイト「Stack Overflow」の年次調査では、2016年から5年連続で、最も愛されている言語のランキングで首位を獲得している。
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