顔だけで二要素認証が可能に、ブリガムヤング大学が開発表情の変化を併せて使う

顔認証技術は優れた認証技術の一つだ。だが、別途手に入れた写真などを使って破られる場合がある。ブリガムヤング大学の研究者は顔の表情の変化を捉えた1〜2秒間の映像を利用して、顔認証技術を強化する手法を開発した。

» 2021年03月29日 16時00分 公開
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 ブリガムヤング大学は2021年3月15日(米国時間)、顔認証技術を強化する手法を開発したと発表した。

 顔の静止画像を使って携帯電話などのロックを解除する技術は、優れたセキュリティとして機能している。しかし、どんな高度な技術であっても、破られる運命にある。例えば寝ている間に顔を撮影されて携帯電話のロックを解除されたり、ソーシャルメディアの写真を使って解除されたりする。指紋や網膜スキャンなど、他の生体認証システムも同じ問題をはらんでいる。最先端の本人確認技術にも重大なセキュリティ上の欠陥があるのだ。

表情の変化や唇の動きを使う

 こうした中、ブリガムヤング大学の電気・コンピュータ工学の教授であるD.J.リー氏は、顔だけでより強いアクセス制限をかける、安全で優れたC2FIV(Concurrent Two-Factor Identity Verification)技術を考案した。

 C2FIVでは顔の静止画像と併せて特定の顔の動きを用いる。カメラに向かって固有の顔の動きを記録するか、または秘密のフレーズを読んだときの唇の動きを1〜2秒の短い動画で記録する。C2FIV技術では動画そのものを利用することはしない。静止画の顔の特徴と顔の動きの特徴量をそれぞれ抽出して、ID認証のために保存する。

1〜2秒の表情の変化や唇の動きから特徴量を抽出して認証に用いる(出典:ブリガムヤング大学

 「私たちが解決しようとしている最大の問題は、本人確認のプロセスを意識的にすることだ。誰かが意識を失っていても、その人の指を使って携帯電話のロックを解除し、デバイスにアクセスすることができる。網膜をスキャンすることもできる。トム・クルーズが演じた『ミッション・インポッシブル』の主人公イーサン・ハントが、マスクを使って他人の顔を再現していたように、映画でもよく見掛ける光景だ」(リー氏)

どの程度の性能なのか

 C2FIVでは、顔の静止画の特徴と動画を同時に学習するために、統合されたニューラルネットワークフレームワークを採用した。

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