「Visual Studio 2022」、最初のパブリックプレビュー版は2021年夏に登場ついに64bit化を実現

Microsoftは統合開発環境(IDE)の次期メジャーバージョン「Visual Studio 2022」について、最初のパブリックプレビュー版を2021年夏に公開すると発表した。

» 2021年04月21日 18時30分 公開
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 Microsoftは2021年4月19日(米国時間)、統合開発環境(IDE)の次期メジャーバージョン「Visual Studio 2022」について、最初のパブリックプレビュー版を2021年夏に公開すると発表した。

 Visual Studio 2022は、初心者から産業向けの開発者まで、多種多様な開発者が利用することを想定して設計されている。より高速で、よりハードルが低く、より軽量になる。さらに、より分かりやすくてインテリジェントな優れた操作性を提供するという。

 開発チームの地理的な分散が進み、企業が開発チームにソリューション実現のスピードアップやエンドユーザー満足度、提供価値の継続的な向上を求める中、「Visual Studio 2022では、GitHubとの連携向上によってコラボレーションを容易にし、アイデアの発想からコーディング、クラウドへのデプロイまでをシームレスに行えるようにする」と、Microsoftは述べている。

 Visual Studio 2022の特徴として、64bit化やあらゆる人に対応したデザイン、モダンアプリケーション開発の支援、さまざまなイノベーションの導入をMicrosoftは挙げている。

64bitアプリケーションとして設計

 Visual Studio 2022は64bitアプリケーションとなる。これにより、メインの「devenv.exe」プロセスで扱えるメモリが最大4GBまでというこれまでの制限が取り払われた。メモリ不足に陥ることなく、大規模で複雑なソリューションを開き、編集、実行、デバッグできるようになる。

 なお、引き続き32bitアプリケーションを開発することもできる。

Visual Studio 2022を用いて、1600のプロジェクト、30万個弱のファイルを含むソリューションを開くデモ動画(出典:Microsoft、クリックで再生)

あらゆる開発者に対応したデザイン

 Visual Studio 2022では、開発者が集中を持続できるように、複雑さや認知負荷を軽減することを目指している。「アクセシビリティーの向上は、全ての人にとってのユーザビリティの向上につながる」という認識も踏まえ、アイコンのアップデートや新しい固定幅フォント「Cascadia Code」の導入、製品テーマのアップデート、アクセシビリティーの問題を早期に発見するための「Accessibility Insights」の統合が行われる。

アクセシビリティーを高めるためアイコンをアップデートする(出典:Microsoft

パーソナライゼーション

 Visual Studioが個々の開発者にぴったりのツールになるように、Visual Studio 2022では、IDEのさまざまな側面をカスタマイズする機能や、複数デバイス間で設定を同期する機能が提供される。

モダンアプリケーションの開発を支援する

Microsoft Azureを利用しやすい

 Visual Studio 2022では、クラウドベースのモダンアプリケーションを「Microsoft Azure」で迅速かつ容易に構築できるという。現在のアプリケーションの一般的なパターンに対応できるように構成されたリポジトリを使って、開発に着手できるようになる。

.NETの対応も改善

 Visual Studio 2022ではWindowsとmacOSをターゲットとする開発者向けに、「.NET 6」と.NET 6のWeb、クライアント、モバイルアプリケーション用の統合フレームワークをフルサポートする。

 WindowsやAndroid、macOS、iOSに対応するクロスプラットフォームクライアントアプリケーションを開発するための「.NET Multi-platform App UI」(.NET MAUI)も含まれる。また、「ASP.NET Core Blazor」を使って、.NET MAUIを用いたデスクトップアプリケーションを作成することも可能になる。

.NET MAUIによるクロスプラットフォームアプリケーション開発が容易になる(出典:Microsoft

 さらに「.NET Hot Reload」を使うことで、Webやデスクトップ、モバイルといったほとんどプラットフォーム向けのアプリケーションで、再起動したり、アプリケーションの状態を失ったりすることなく、実行中にコード変更を適用できるようになる。

C++向けの改善もある

 新しい生産性機能やC++20ツール、IntelliSenseにより、Visual Studio 2022ではC++ワークロードを扱いやすくなる。新しいC++20言語機能が大規模コードベースの管理を容易にする他、診断の改善により、困難な問題のデバッグが容易になる。

 さらにCMakeやLinux、WSLサポートの統合により、クロスプラットフォームアプリケーションをより簡単に作成、編集、ビルド、デバッグできるようになる。

さまざまなイノベーションを導入した

診断とデバッグが強力になる

 コアデバッガのパフォーマンスが向上する他、フレームチャートや依存ブレークポイント、統合されたデコンパイルといった付加機能も提供する。

リアルタイムコラボレーションが容易に

 他のユーザーとリアルタイムでコードベースを共同で編集、デバッグできる拡張機能「Live Share」に、テキストチャット機能が統合される。

 さらに同じリンクを使って繰り返し行われるセッションをスケジューリングするオプションも利用できるようになる。

より適切な洞察が得られ、生産性が向上する

 ユーザーが適切なときに適切な場所で、適切なアクションが取れるように、AIベースの「IntelliCode」エンジンが日常のワークフローへとより深く統合される。その結果、適切な場所、適切なタイミングで適切なアクションを実行できるようになる。

「IntelliCode」エンジンによる作業支援の例(出典:Microsoft、クリックで再生)

非同期コラボレーションを助ける

 GitとGitHubに対応する強力な新機能が提供される。例えば、コードのコミットやプル、ブランチのマージの他、マージとレビューのプロセスが容易になる。効率的に作業を行えるようにユーザーをガイドするようなロジックやチェックポイントが用意される。こうして開発者が生み出すコードの信頼性が高くなる。

コード検索の改善

 さまざまな目的で実行されるコード検索のパフォーマンスが改善される。他の開発者から学んだり、コードを共有したり、リファクタリング中の影響範囲の評価、問題の調査といったさまざまな活動にコード検索が役立つ。

 Visual Studio 2022ではコードがどのコードベースやリポジトリに含まれているのかにかかわらず、読み込んだスコープの外部も対象に検索ができるようになる。

「Visual Studio for Mac」のアップデート

 「Visual Studio 2022 for Mac」は、Macに対応したモダン.NET IDEを提供する。さらにネイティブmacOS UIへの移行によってパフォーマンスと信頼性の向上を図る予定だ。

 さらに、IDE全体にわたって、MacとWindows間でメニューと用語がより一貫したものになる。

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