阿部川 現在、エンジニアとしてさまざまなお仕事をされていると思いますが、今後例えば10年後にはこうなっていたいといった目標はありますか。
ミケーレ氏 10年後はどうなるか分からないけれど、将来は自分の会社を作って、開発したプロダクトを世界中に展開したいですね。今はとにかく自分のスキルをもっと高めて新しい能力を身に付けたいと考えています。
阿部川 何か温めているアイデアはありますか。
ミケーレ氏 詳しい内容は秘密ですが、Webサービスを作ろうと思ってちょうど先月から開発を始めたところです。
阿部川 そのサービスを公開して失敗したらどうします?
ミケーレ氏 失敗しても別の案件を始めればいいだけなので大丈夫です。成功しても失敗しても、作ろうとする時点でいろいろなスキルが身に付くので、成功にこだわってはいません。
阿部川 今は、わざと意地悪な質問をしました。日本の人は必ず「失敗したら」って言うんです。でも、25歳ぐらいの失敗なんてどうってことないですよ。おっしゃる通り、そこで失敗した方が学ぶことが多いですから。会社を作りたいと思ったのは何かきっかけがありますか。
ミケーレ氏 起業したいわけではなく、Webサービスを作って日本にどうやって広げてくかを考えると起業じゃないと厳しいと思います。できれば個人でやっていきたいけれど、それは無理なので起業して企業としてやるしかないですよね。
阿部川 仲間を募って3人か4人ぐらいでやるのはどうですか?
ミケーレ氏 知り合いがいなくて(苦笑)。自分でプログラミングできるので、一人でいいかなと思っています。複数人でやると株式を分けないといけないし、面倒かもしれない(笑)。
阿部川 お友達がいない(苦笑)。大丈夫、このインタビューが記事になれば、どんどん仲間ができますよ。チームでやるのも大事だし、面倒くさいから一人でやるのも、どちらでもいいとは思います。この先もずっと日本でやっていきたいとお考えですか。
ミケーレ氏 そうですね。もちろん、たまにはイタリアにも戻りたいですし、いろいろなところに旅行したいですけれど、住むなら日本がいいですね。
阿部川 日本のエンジニア、特にミケーレさんと同年代のエンジニアに対してメッセージをお願いできますか。
ミケーレ氏 いろいろやってみましょう。新しい技術に手を付けてみるものいいでしょうし、私のようにさまざまなプロジェクトや現場を経験するのもいいと思います。1つの現場にいて学べることは限られています。ずっとそうした環境にいるとエンジニアとして成長できないので、どんどん新しい現場に移った方が良いと思います。
阿部川 ミケーレさんはやりたいことをするために起業も考えているというお話でした。もし起業するならば、マネジメントや他のいろいろな経験や知識も必要になりますよね。そういう分野はこれから意識して勉強していこうと思っていますか。
ミケーレ氏 もちろんです。それにマネジメントは自分に向いている気がするんです。
阿部川 ミケーレさんは「俺はこれが向いている」「俺はこれが好きだ」というのが明確にあるんですね。マネジメントもプログラミングもできるぞ、と。
ミケーレ氏 だからこそ、一人でやっていく自信があるんです。実際やり始めたらとても大変だろうとは思います。
覚悟が違っている。それは日本社会の常識とは真逆だ。
いわく、「やりたいことをやるためには起業が一番合っている」「スキルがあれば(そして自信があれば)必ず仕事はある」。正社員かフリーランスかを悩むより、やりたいかどうかを優先させ、やりたければスキルを磨く。もちろん、これがあるべき姿だ。自ら学び、自らを変え、自らを成長させる。その中にしかイノベーションの萌芽はない。
それにしても世界に冠たるは日本のアニメ。もしこれがなかったら、日本にいる外国籍のエンジニアは現在の半数とは言わないまでも激減していたのではないだろうか……さて今日はどれを見ようか。
アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、インタビュアー、作家、翻訳家
コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時より通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行うほか、作家、翻訳家としても活躍中。
「Go Global!」では、GO阿部川と対談してくださるエンジニアを募集しています。国境を越えて活躍するエンジニア(35歳まで)、グローバル企業のCEOやCTOなど、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。取材はオンライン、英語もしくは日本語で行います。
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