包含されていない可能性のあるオブジェクトに関する情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(33)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、包含されていない可能性のあるオブジェクト情報の出力について解説します。

» 2021年08月11日 05時00分 公開
[椎名武史@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_db_uncontained_entities」における、包含されていない可能性のあるオブジェクト情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2012以降です。

概要

 SQL Serverはバックアップやリストアなどを使用して、データベースを別のインスタンスに移動させられます。しかし、対象のデータベース以外やインスタンス固有の情報にアクセスするものがある場合には、別のインスタンスに移動させた際に正常に動作しない場合があります。別のデータベースやインスタンスから完全に分離され、データベースのみで完結するデータベースを「包含データベース」と呼びます。「sys.dm_db_uncontained_entities」を実行すると、包含されていない可能性があるオブジェクトの情報を出力できます。

出力内容

列名 データ型 説明
class int エンティティのクラス。次のいずれかになる
 1 = オブジェクトまたは列(モジュールやXP、ビュー、シノニム、テーブルを含む)
 4 = データベースプリンシパル
 5 = アセンブリ
 6 = 型
 7 = インデックス(フルテキストインデックス)
 12 = データベースDDLトリガー
 19 = ルート
 30 = 監査の仕様
class_desc nvarchar(120) エンティティのクラスの説明。次のいずれかになる
 OBJECT_OR_COLUMN
 DATABASE_PRINCIPAL
 ASSEMBLY
 TYPE
 INDEX
 DATABASE_DDL_TRIGGER
 ROUTE
 AUDIT_SPECIFICATION
major_id int エンティティのID。次のいずれかになる
 classが1の場合:object_id
 classが4の場合:sys.database_principals.principal_id
 classが5の場合:sys.assemblies.assembly_id
 classが6の場合:sys.types.user_type_id
 classが7の場合:sys.indexes.index_id
 classが12の場合:sys.triggers.object_id
 classが19の場合:sys.routes.route_id
 classが30の場合:sys.database_audit_specifications.database_specification_id
statement_line_number int クラスがモジュールの場合は、非包含エンティティの使用が見つかった行番号を返す
statement_offset_begin int クラスがモジュールの場合は、非包含エンティティの使用が開始する開始位置を返す
statement_offset_end int クラスがモジュールの場合は、非包含エンティティの使用の終了位置を返す
statement_type nvarchar(512) ステートメントの種類
feature_name nvarchar(256) オブジェクトの外部名
feature_type_name nvarchar(256) 機能の種類

動作例

 非包含オブジェクトとして、3つのストアドプロシージャを作成しました。1つ目は「sys.endpoints」と「sys.server_principals」を参照するもの、2つ目は動的SQLとして「sys.endpoints」を参照するもの、3つ目は「DBCC CHECKDB」を実行するものです。対象のデータベースで「sys.dm_db_uncontained_entities」を実行すると、4行出力されました(図1)。

図1 図1 非包含オブジェクトの候補として4行出力された

 最初の2行は、1つ目のストアドプロシージャで「sys.endpoints」と「sys.server_principals」を参照しているものです。「feature_name」列にも参照しているシステムビューそのものの名前が出力されています。

 3行目は動的SQLです。SQL Serverはどのようなクエリが実行されるか想定できず、「feature_type_name」列には「Unknown Containment Behavior」として表示されています。

 4行目は対象がオブジェクトではないため、「statement_line_number」列などは「NULL」が表示されています。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017~)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。

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