「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、「Azure SQL Database」におけるCPUとI/O、メモリの消費量の確認について解説します。
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本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_db_resource_stats」における、「Azure SQL Database」(SQL Database)のCPUとI/O、メモリの消費量の確認について解説します。
SQL Serverでは、使用可能なリソースの上限は物理/仮想サーバのリソース量やSQL Serverのサーバ構成オプションなどで決まります。
SQL Databaseの場合、使用可能なリソースの上限は選択されている購入モデル(DTU/vCore)やサービスレベル、コンピューティングレベルによって決まります。
SQL Serverの場合、リソースの使用状況はパフォーマンスログの採取で確認できます。しかしながら、SQL Databaseの場合は、サービスをホストするサーバには接続できないため、パフォーマンスログの採取でリソースの使用状況を確認できません。
SQL Databaseでは「sys.dm_db_resource_stats」動的管理ビューを使用して、現在のコンピューティングレベルで使用可能なリソースの上限に対して、どのリソースがどの程度の割合で使用されているかを確認できます。
出力は15秒ごとに1行作成され、履歴データは約1時間分が保持されます。
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
end_time | datetime | 現在のレポート期間の終了時刻(UTC) |
avg_cpu_percent | decimal(5,2) | 現在のサービスレベルでの制限に対する平均CPU使用率 |
avg_data_io_percent | decimal(5,2) | 現在のサービスレベルでの制限に対する平均データI/O使用率 |
avg_log_write_percent | decimal(5,2) | 現在のサービスレベルでの制限に対する平均ログ書き込みスループット使用率 |
avg_memory_usage_percent | decimal(5,2) | 現在のサービスレベルでの制限に対する平均メモリ使用率 |
xtp_storage_percent | decimal(5,2) | レポート期間の終了時の、現在のサービスレベルでの制限に対するインメモリOLTPストレージ使用率 データベースでインメモリOLTPを使用しない場合は0 |
max_worker_percent | decimal(5,2) | 現在のサービスレベルでの制限に対する最大同時実行ワーカー数の割合 |
max_session_percent | decimal(5,2) | 現在のサービスレベルでの制限に対する最大同時セッション数の割合 |
dtu_limit | int | データベースの最大DTU設定 vCoreモデルを使用するデータベースではNULL |
cpu_limit | decimal(5,2) | データベースの仮想コア数 DTUモデルを使用するデータベースではNULL |
avg_instance_cpu_percent | decimal(5,2) | データベースが使用するCPU使用率の平均 |
avg_instance_memory_percent | decimal(5,2) | データベースが使用するメモリ使用率の平均 |
avg_login_rate_percent | decimal(5,2) | サポートされていない |
replica_role | int | データベースの現在のレプリカのロールを表す 0:プライマリ 1:セカンダリー 2:フォワーダ(読み取り可能セカンダリーにRedeOnlyを指定せず接続した場合) |
SQL Databaseを、DTU購入モデルで構成します(図1)。
ワークロードを実行していない状態で「sys.dm_db_resource_stats」動的管理ビューを出力します(図2)。
15秒ごとのリソース消費量が出力され、最も古いデータは約1時間前のデータが表示されていました。それ以前のデータは削除されるようです(図3)。
次に、CPU負荷の高いクエリを複数実行し「sys.dm_db_resource_stats」動的管理ビューを出力します(図4)。
「avg_cpu_percent」列の値から、現在のコンピューティングレベルではCPUが上限近くまで使用されており、CPUのパフォーマンスを改善するには処理能力がボトルネックになっていそうなことが分かりました。
類似の情報は、Azure SQL Databaseのメトリックで採取することもできます(図5)。
SQL Databaseのメトリックの場合、1時間で削除されるということは無いため、メトリックの保存期間までさかのぼって確認できます。ただし、「avg_memory_usage_percent」列など、一部の列には類似のメトリックが無いため、これらの列のリソース消費量を確認するには「sys.dm_db_resource_stats」動的管理ビューを使用する必要がありそうです。
※本Tipsは、「Azure SQL Database(V12)」での動作を想定して解説しています。
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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