VUCA時代を生き抜くエンジニアに必要な3つのスキル技術スキル、ビジネススキル、もう1つは……?(2/2 ページ)

» 2021年09月21日 05時00分 公開
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パラダイムシフトを乗り越えるために必要な3つのスキル

 常に変化し続ける現代社会で変化に対応していくために、エンジニアはどのようなスキルを身に付けるべきなのでしょうか。

技術力

 技術力はエンジニアの根幹となる能力です。コーディング能力だけでなく、技術体系そのものの知識も含まれます。ネットワークの仕組みやWebアプリケーションの仕組みなど、基礎的なことはもちろん最新の技術の知識が含まれます。

ビジネススキル

 エンジニアの仕事は1人では完結しません。他者と気持ち良く働くためには、相手を理解し、相手に理解してもらい、協力し合える関係性を作っていく力が必要です。

読解力

 読解力とは、文字通り「文章を読んで内容を理解する力」です。ビジネスシーンでは、内容が全て文章になっていることは、ほぼありません。指示書に記載されているのはアクションのみということがほとんどで、バックグラウンドは自分でキャッチアップしなければなりません。指示自体が口頭で、自ら資料をまとめる場合もあります。

 読解力は、少ない情報からその核心や肝になる部分を理解し、実行可能な計画に落とし込む力です。別の表現を使うと「自分の言葉で言い換える力」です。

 活字の本をたくさん読んで第三者に内容を伝えると、良い訓練になります。

聞く力

 聞く力は、仕事の起点で必要な能力です。要件定義でユーザーと会話するときや、リーダーの指示を理解するとき、部下を持つようになったら部下の話を聞くときにも必要です。

 聞く力を正しく身に付けるためには、相手の言葉に「反応してしまわないこと」を意識しましょう。ここでいう「反応」とは、相づちなどの所作ではなく、自分の考えや感想を述べることです。自分の考えを入れることで、相手が伝えたいことがねじ曲がってしまうからです。

 相手が話し終えるまでひたすら聞き続ける忍耐強さが必要です。訓練方法は「瞑想(めいそう)」などがおすすめです。

伝える力

 伝える力は、自分の考えや思いを相手に正しく伝える力です。このスキルの難しいところは、相手の理解力に左右される点です。自分がいかに正しいことを正確に表現していても、相手に理解する力がなければ、伝わる情報が少なくなってしまいます。相手の立場や知識量を考え、理解力に沿った伝え方を探り、適切な表現を選んでいくスキルが必要です。

 このスキルを身に付けると、対エンジニア、対顧客、対部下などさまざまな場面で相手に伝えられるようになり、長いビジネス人生の中で活用できます。

 身に付けるためには、上記の「読解力」「聞く力」に加えて「手法」を学びましょう。話し方では「結論→理由」の順で相手に伝えるのが最もオーソドックスな形です。結論はシンプルにしましょう。

 最も相手に伝わらない部分は、「理由の正当性」です。複雑な物事の場合は理由も複雑になりがちです。言葉だけではなく、図版や資料を用意するなど、さまざまな角度から伝えるようにしましょう。

チーム、組織で動く力

 私はこのスキルは、「相手との関係性を作る」力だと思います。

 一般的によくいわれる「報連相」や「コミュニケーション」は、相手との関係性を作る手段に過ぎません。報連相を正しく用いるだけでうまくいくのは、クローズドな環境や、やることが決まっている内容に限ります。複雑化しているビジネスにおいては、報連相などの特定スキルだけではなく、相手との関係性を作ることが求められています。

 相手との関係性を作るために皆さんに身に付けてほしいスキルは、「マナー、気遣い」です。書籍『できる人は必ず持っている一流の気くばり力』(安田正著、三笠書房)が参考になりますので、この中から得意なものを実践していくといいでしょう。

マインドスキル

 複雑化する現代社会を生き抜くためには、しなやかなメンタリティが必要です。人生の局面で心が揺れる場面は必ず訪れます。いつでも平常心に戻れるよう、普段の自分を大切にしてください。

人間力

 ビジネスの現場で働いていると、さまざまな人に会います。時には不条理なことにも遭遇します。そうしたときに必要なスキルという意味で人間力と書きました。言い換えると「忍耐力」です。

 人は「変化」することにストレスを感じる生き物です。ネガティブな変化はもちろんですがポジティブな変化でもストレスを感じます。これらに対し、前向きに受け止め、消化していく「コントロール能力」が必要です。

 これらを身に付けるときに必要なものは2つです。1つは「感情をフラットな状態にいつでも戻すことができる能力」です。これは感情がネガティブなときもポジティブなときもフラットにコントロールする能力です。もう1つは、「自分にとって大切な考え=信念を持つこと」です。信念を持つと、何かあっても原点回帰でき、前に進むエネルギーを得られます。

マインド、メンタリティ

 マインドは「生きる力」です。ポジティブなマインドも必要ですが、大切なのはネガティブな状況に対するマインドです。

 「努力しても報われないこともある」これを受け入れられないと、挫折してしまいます。ビジネスで大切なのは、挫折の後の立ち直りや回復です。

 立ち上がれないほどのダメージを受けると、仕事を通り越して人生で深刻なダメージを追ってしまいます。ダメだった自分に対する「寛容さ」を受け入れていぜひただきたいと思います。

まとめ

 変化の多い世の中、エンジニアであり続けることに不安を覚える人もいるかと思います。しかし変化の多い世の中だからこそ、基礎となる技術力やビジネス力、マインド力を身に付け、変化に対応できるよう備えておく必要があります。

 私は、この中最も大切なのはマインドだと考えます。マインドには成長欲求があります。この気持ちと自分に対する寛容さも合わせて成長していき、長い間活躍し続けられるエンジニアを目指していきましょう。

佐藤環

AMG Solution システムエンジニア

異業種から転職した7年目のシステムエンジニア。上流工程から開発、運用保守まで幅広く携わり活躍している。現在は社会インフラシステムの開発プロジェクトリーダーをする傍ら、SFA・CRM&日報ツール「feels」の営業、開発に注力している。

また、社員のエンゲージメント向上を促進することを目的に設立したエンゲージ部門を率いて、社員のオンボーディングにも力を注いでおり、社員採用にも積極的に取り組んでいる。


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