オープンソース人材の需要はパンデミック後も増加、Linux Foundationが報告どのようなスキルの需要が高いのか

Linux Foundationはオープンソース人材の採用やトレーニングの動向に関する年次報告書の最新版「The 2021 Open Source Jobs Report」を公開した。採用担当者がどのような人材の採用を増やそうとしているのかが分かる。

» 2021年10月06日 16時00分 公開
[ITmedia]

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 オープンソースを通じたイノベーションの促進を目指す非営利組織Linux Foundationは2021年9月20日(米国時間)、オープンソース人材の採用やトレーニングの動向に関する年次報告書の最新版「The 2021 Open Source Jobs Report」を公開した。

 Linux Foundationはオンライン教育を提供するedXと共同で2021年6〜7月に、世界各国の大企業や中小企業、政府機関、人材派遣会社の200人以上の採用マネジャーと、世界各国の750人以上のオープンソースプロフェッショナルを対象に、人材採用に関するニーズや選好の調査を行い、その結果を同報告書にまとめた。

 Linux Foundationは、IT人材の採用やトレーニングを取り巻く現状を次のように要約している。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の前からIT人材は不足していたが、パンデミック下でテレワークが広く普及し、クラウドネイティブ技術の導入が加速したことで、IT人材不足が深刻化している。こうした中、クラウドへの移行ニーズを満たし、移行に関連するオープンソース技術を活用する上で、既存スタッフのトレーニングも一段と重要になっている」

 クラウドネイティブのスキルに対する需要の高まりは、Linux Foundationトレーニング&認定プログラムからも分かるという。Kubernetesの認定試験の受験者は、2020年上半期には2019年と比較して4倍となった。さらに、2021年の上半期にはその数がさらに43%増加しており、2019年上半期から2021年にかけて、Kubernetes認定資格の需要が455%増加したことになる。

 これは、Kubernetesに貢献する開発者が着実に増加していることとも一致している。過去3年間で貢献者が88%増加しているからだ。この1年間で、Kubernetesはコミュニティーの関心を大きく集め、ソーシャルメディアチャネルで14万8000以上の言及があった。

Kubernetesプロジェクトに貢献する開発者数の伸び(出典:Linux Foundation

採用が大きく増える傾向に

 COVID-19のパンデミックで人材採用のペースは鈍化したものの、雇用主の間でオープンソース人材の需要は依然として高い。同報告書のハイライトは次の通り。

採用マネジャーの50%が、今後6カ月間に、過去6カ月間と比べてオープンソース人材の採用を増やそうと計画している

採用マネジャーの88%が、認定資格を持つプロフェッショナルの採用を、優先事項と位置付けている。この割合は2020年の調査の57%から大きく上昇した

採用マネジャーの97%が、オープンソース人材の採用を2021年の優先事項と位置付けている。採用マネジャーによる認定資格を持つオープンソース人材を求める傾向が、これまで以上に強まっている

ホットな3大スキルは?

 「人材採用に関する決定に最も影響する技術は何か」という問いに対する採用マネジャーの回答(複数回答可)は、次のようになった。

技術 回答比率
クラウド/コンテナ技術 41%
Linux 32%
ネットワーク技術 31%
セキュリティ 28%
人工知能(AI)/機械学習(ML) 18%
ストレージ技術 17%
エッジコンピューティング 17%
Web技術 16%

人材の獲得と維持が優先課題に

 COVID-19のパンデミックが始まって2年近くが経過する中、適任の人材の獲得と維持が優先課題となっている。そのため、給与面での優遇やトレーニングの提供が目立つ。

採用マネジャーの92%が、オープンソーススキルを持った人材を十分に見つけることが難しいと報告している

企業の39%が、オープンソース人材を他のビジネス分野よりも昇給面で優遇している

採用マネジャーの58%が、人材不足を補う目的で、既存従業員のトレーニングを増やしていると回答している

開発者の66%が、職務を成功させるのに役立つ最も求める恩典として、雇用主の資金負担によるトレーニングの機会を挙げている。次に挙げたのが、技術カンファレンスやイベントへの参加だ(54%)

トレーニングと認定資格取得が意味を持っている

 従業員はトレーニングを受けることを望んでおり、認定資格トレーニングは、不可欠なトレーニング方法となっている。採用マネジャーが適材適所と定着率の向上を目指しているからだ。

採用マネジャーの72%が、認定資格を持つ人材を採用する傾向は高いと回答

採用マネジャーの88%が、認定資格を持つ人材に対する給与面の優遇に前向き

採用マネジャーの92%が、過去1年間に、トレーニングのリクエストが増えたと答えている

オープンソースへの貢献にはどのような価値があるのか

 オープンソースプロジェクトへの直接の貢献や参加は、雇用主とITプロフェッショナルの両方にとって、明確な価値がある。

採用マネジャーの43%が、オープンソースソフトウェアに基づくソリューションの設計に関する専門知識と経験を持つ人材を求めている

オープンソースプロフェッショナルは、オープンソースのキャリアを追求してきた最大の理由として次のような理由を挙げている(複数回答可)

理由 回答比率
オープンソースがあらゆるものを動かしている 58%
オープンソースに熱意がある 54%
テレワークの機会が多い 33%
コラボレーティブ開発モデル 25%
オープンソースの自由を享受している 25%
収入と特典 24%
仕事の機会が多い 22%

採用マネジャーの44%が、オープンソースプロジェクトに貢献したことがあるスタッフを最も求めている

プロフェッショナルの50%が、オープンソースソフトウェアに基づくソリューションを設計する能力を、最も価値あるスキルと位置付けている。オープンソースプロジェクトへの貢献を、最も価値ある経験と位置付けているプロフェッショナルも、48%に達している

プロフェッショナルの58%が、仕事でオープンソースを使っている理由について、オープンソースが最新の技術を支えており、この分野で仕事をすることで、より雇用されやすくなるからと回答した

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