Microsoftはフルマネージドのカオスエンジニアリング実験プラットフォーム「Azure Chaos Studio」のパブリックプレビュー版を発表した。CPUやメモリなどの負荷が急速に高くなった場合のアプリケーションの振る舞いを検証できる。
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Microsoftは2021年11月2日(米国時間)、フルマネージドのカオスエンジニアリング実験プラットフォーム「Azure Chaos Studio」のパブリックプレビュー版を発表した。Microsoft Azure(Azure)用のアプリケーションに対して、カオスエンジニアリングを効果的に実行できる。
アプリケーションに対して、制御されたフォールトインジェクション(エラーの注入)を実行でき、リージョンの停止や仮想マシン(VM)で高CPU使用率を引き起こすアプリケーション障害など、実際のインシデントに対するAzureアプリケーションの回復性を測定して理解し、向上させることができる。
Microsoftはカオスエンジニアリングを、信頼できない状態や依存関係の欠落に対するアプリケーションの回復性を構築、検証するために、アプリケーションを実世界の圧力と障害にさらす実験を行う手法と位置付けている。
Chaos Studioを使ったカオスエンジニアリングの意義について、同社は次のように説明している。
「Azureでアプリケーションを実行する場合、アプリケーションの可用性が失われ、ユーザーに対してエラーや障害が発生することで、ビジネスに悪影響が及ぶ事態を避ける必要がある。そのためには、依存しているサービスが原因で発生し得る中断や、サービス自体の障害による中断、インシデント対応ツールとプロセスの中断に対して、アプリケーションが効果的に対応できるかどうかを検証しなければならない。Chaos Studioを使ったカオスエンジニアリング実験により、Azureでホストされているアプリケーションについて、障害に対する回復性をテストできる」
Chaos Studioによるカオスエンジニアリングは、さまざまな回復性検証シナリオに使用できる。その中には、インシデント後分析、“ゲームの日”の実行(主要なユーザーイベントや季節性イベントに備えた検証)、BCDR(事業継続とディザスタリカバリー)の訓練、ライブサイトツールやオンコールプロセスの検証などが含まれる。
こうしたシナリオの多くでは、まずアドホックカオス実験を通じて回復性を構築し、次に「CI/CD」(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインのデプロイゲートとしてカオス実験を用いる。新しいデプロイが原因で回復性が後退しないことを継続的に検証する。
Chaos Studioを使うと、安全な制御された方法で、Azureリソースでのフォールトインジェクションを調整できる。MicrosoftはChaos Studioの主なメリットとして次の点を挙げている。
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