データリテラシーを推進し、その成果を適切な指標で測定する。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
データとアナリティクス(D&A)の戦略がデジタルビジネスのあらゆる側面に不可欠となっており、企業はデータリテラシーにより、既存の技術と新しい技術をシームレスに導入できる。データリテラシーは、データを理解し、データに関する知見を共有し、データについて有意義な対話を行う能力を指す。
最高データ責任者(CDO)は、データリテラシーの高い人材を育成するために、データリテラシートレーニングの成果を定量化し、客観的に伝えられるようにする必要がある。そのためには、適切な指標を定義、追跡することが求められる。
「CDOなどのD&Aのリーダーは、データドリブンな意思決定の根本的な必要性を認識しているが、測定可能なビジネス目標や成果に結び付けることが課題となっている」と、Gartnerのアナリストでディスティングイッシュト バイスプレジデントのアラン・ダンカン(Alan D. Duncan)氏は語る。
Gartnerは、データリテラシーを次のように定義している。「置かれた環境や状況の中で、データを読み、書き、伝える能力である。その中には、データのソースと構造、適用するアナリティクスの方法と手法を理解し、データのユースケース、アプリケーション、結果としての価値を説明する能力が含まれる」
さらに、データリテラシーは、デジタルデクステリティの構成要素でもある。デジタルデクステリティは、従業員が既存の技術と新しい技術を活用し、ビジネス成果を向上させる能力と意欲を指す。
Gartnerの年次CDOサーベイによると、CDOオフィスの成功を阻む2番目に大きな社内的要因は、データリテラシーの低さだ。また、2023年までに、ビジネス価値を高めるためにはデータリテラシーが必要不可欠であることが明らかになり、D&Aの戦略およびチェンジマネジメントプログラムの80%以上に、データリテラシーが組み込まれるようになる。
D&Aのリーダーはデータリテラシーを高め、活用するシナリオを作り、得られるビジネス価値を訴求する責任を負う。
次の質問に答えることで、自社のデータリテラシーの評価を開始できる。
D&Aの野心的な戦略目標を達成したり、従業員のスキルギャップに対処したりするには、CDOはデータリテラシーのトレーニングプログラムを展開しなければならない。組織文化の一部として、D&Aのスキルやデータリテラシーの習得が行われる環境を構築するのに役立つからだ。
「不確実なビジネス環境や働き方の変化、デジタルビジネステクノロジーの革新の加速がスキルギャップを生み出している。新しいスキルを持った人材を社内で育成し、このスキルギャップを埋める必要がある」と、ダンカン氏は語る。
まず、流ちょうなネイティブの“データスピーカー”を特定する。苦もなく、自然にデータに基づいて話せるビジネスアナリスト、データスチュワード、アーキテクトを探すとよい。また、ビジネス部門の仲介役者となる、熟練した解説者も見つける必要がある。
次に、コミュニケーションが障壁となってデータのビジネス上の可能性を最大限に引き出せられずにいる分野を見つける。データリテラシーを評価してギャップを特定し、それをベースラインとする。
従業員にデータについて教えるときが来たら、そのための楽しいオープンな環境を整えるとともに、既成の概念にとらわれないトレーニングのアイデアを出す。スライドやプレゼンテーションにばかり頼るのではなく、ゲームやクイズなど創造的な方法で教える。
さらに、言語ギャップがある分野で、データリテラシーの概念実証ワークショップを試してみる。参加者に、一般的なユースケースと、自組織に固有のユースケースを説明してもらう。学習したレッスンを記録し、参加者が他の人の言語を使うようにして、エクササイズを繰り返す。グループ間でレッスンを共有し、リテラシーギャップに対する認識と理解を高める。
最後に、D&Aのリーダーとデータチームは、自ら手本を示す必要があることを忘れてはならない。会議やビジネスの場でビジネス成果を議論する際は、データに基づいて話すようにする。データリテラシーの習得、活用を推進し、データリテラシーのギャップをなくすベネフィットを示すことが重要だ。
従業員とマネジャーが、データリテラシートレーニングプログラムのベネフィットを理解する必要がある。「自分にとって何が得られるのか」「自分の現在と今後の役割にどう関係するのか」を明確にする。
トレーニングから明確で測定可能な価値を引き出すには、CDOは次のようにするとよい。
CDOは、データリテラシープログラムと、個々の従業員の進捗(しんちょく)状況を評価するための指標として、次のような項目を検討するとよい。
出典:A Data and Analytics Leader's Guide to Data Literacy(Smarter with Gartner)
Brand Content Manager at Gartner
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