データファイルとログファイルのI/O統計に関する情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(123)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、データファイルとログファイルのI/O統計に関する情報の出力について解説します。

» 2022年06月28日 05時00分 公開
[椎名武史@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理関数「sys.dm_io_virtual_file_stats」における、データファイルとログファイルのI/O統計に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)、「Azure SQL Database」「Azure SQL Managed Instance」「Azure Synapse Analytics」「Analytics Platform System」(PDW)です。

概要

 SQL Serverでは、ファイルグループを使用することでテーブルなどのオブジェクトを配置するファイルを決めることができます。負荷の少ないファイルに配置するために既存ファイルのI/O量を確認したい場合がありますが、パフォーマンスカウンターでは論理ディスク単位のI/O状況しか確認できません。

 「sys.dm_io_virtual_file_stats」では、データファイルとログファイルのI/O統計に関する情報を出力します。

構文と引数

構文 sys.dm_io_virtual_file_stats (database_id, file_id)

列名 データ型 説明
database_id int データベースのID
file_id int ファイルのID

出力内容

列名 データ型 説明
database_id smallint データベースのID
file_id smallint ファイルのID
sample_ms bigint コンピュータの起動後から経過した時間(ミリ秒単位)
num_of_reads bigint ファイルに対して発行された読み取りの数
num_of_bytes_read bigint ファイルで読み込まれた総バイト数
io_stall_read_ms bigint ファイルの読み取りをユーザーが待機した合計時間(ミリ秒単位)
io_stall_queued_read_ms bigint リソースガバナーによる読み取りを待機した合計時間(ミリ秒単位)
num_of_writes bigint このファイルに対して行われた書き込みの数
num_of_bytes_written bigint ファイルに書き込まれた総バイト数
io_stall_write_ms bigint ファイルの書き込みをユーザーが待機した合計時間(ミリ秒単位)
io_stall_queued_write_ms bigint リソースガバナーによる書き込みを待機した合計時間(ミリ秒単位)
io_stall bigint ファイルでのI/Oの完了をユーザーが待機した合計時間(ミリ秒単位)
size_on_disk_bytes bigint ファイルサイズ
file_handle varbinary このファイルのWindowsのファイルハンドル

動作例

 SQL Serverを起動してしばらくしてから「sys.dm_io_virtual_file_stats」を実行すると、データファイルとログファイルのI/O統計に関する情報が出力されました(図1)。

図1 図1 I/O統計に関する情報が出力された

 「database_id」列と「file_id」列から対象のファイルを特定できますが、Microsoftが提供している「Handle」というツールを使用することで、「file_handle」列の情報から対象のファイルを特定することもできます(図2)。

図2 図2 「handle.exe」でファイルハンドルと対象ファイルのひも付けが確認できた

 「handle.exe」をダウンロードして、引数としてファイルパスに「MSSQL\DATA」が含まれているファイルハンドルだけを出力させました。

 「sys.dm_io_virtual_file_stats」で「database_id」列が「1」、「faile_id」列が「1」である「master.mdf」ファイルの「file_handle」列は「0x000000000000099C」と出力されており、「handle.exe」の出力結果の一番上も、ファイルハンドル「99C」がKドライブ上の「master.mdf」であることが確認できます。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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