O'Reilly Mediaは、企業や組織に所属する米国のクラウド担当者を対象に給与調査を実施、結果を発表した。予想よりも高年齢層が多く、転職した人の割合が高かった。
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メディア企業のO'Reilly Mediaは2022年6月22日(米国時間)、企業や組織のクラウド担当者(米国居住者)を対象に行った給与調査の結果を発表した。
調査対象のクラウド担当者には、クラウドベースのアプリケーションを開発するソフトウェア開発者、クラウドプラットフォームを管理する運用担当者、クラウドサービスを利用する担当者の他、経営幹部が含まれる。
回答者の平均年齢は47歳であり、プログラマーが43%、アーキテクトが33%、経営幹部が14%という内訳だった。
・回答者の平均給与は18万2000ドル(135円換算で2457万円)
・過去1年間の平均昇給率は4.3%
・回答者の20%が過去1年間に勤務先を変更したと回答
・回答者の25%が転職による報酬増を理由に勤務先の変更を計画している
・女性の平均給与は男性より7%低い
・回答者の63%が常にテレワークをしており、94%が少なくとも週1日、テレワークをしている
・過去1年間に40時間以上のトレーニングに参加した回答者は、より大きな昇給を得た
調査の結果、年収別に見ると、15万〜17万5000ドルという回答者が最も多かった(全体の16%)。
年収が10万〜22万5000ドルの範囲にある回答者が全体の68%を占めている。最も高収入のグループを見ると、年収が30万ドル以上の回答者が7%、40万ドル以上が2.4%となっている。
O'Reillyは、転職が高年収の一因になっていると考えている。ほとんどの分野で人材不足が叫ばれ、多くの雇用主が必要な人材を確保するために、高額な給与を提示しているからだ。転職すれば、現在の勤務先にとどまるよりも大幅な収入アップや、転職先で入社時のサインボーナスを得られる可能性が高い。
昇進した人と転職した人は一部重複している(「昇進した」と答え、かつ「転職した」と答えた回答者は全体の5%で、転職者の約4分の1を占める)。さらにO'Reillyは、退職した人、退職を予定している人、昇進、昇給した人の数を見ると、給与予算が逼迫(ひっぱく)していることが分かるとも指摘している。
昇進した人、転職した人、転職を考えている人の給与を比較すると、昇進した人の給与の前年比上昇率は平均7%で、昇進しなかった人(平均3.7%)の2倍近くだった。
転職した人の給与の前年比上昇率は平均6.8%で、転職しなかった人(平均3.7%)よりも大幅に高かった。
また、報酬を理由に転職を計画している人の平均給与は17万1000ドルだったことに対し、転職を考えていない人の平均給与は18万8000ドルで、その差は1万7000ドル、約10%だった。
一方、O'Reillyは、「現在は、有能な求職者が労働市場で力を持っている。だが、2022年3月に始まった株式市場の調整や、一部の大手IT企業によるレイオフなどにより、その状況は変わりつつあるかもしれない」との見方も示している。
回答者を年齢別に比較したところ、最も多かったのが45〜54歳であり、平均給与も19万6000ドルと最高だった。55〜65歳の回答者の給与は17万3000ドルと低下し、65歳以上の回答者の給与は13万9000ドルと下がる。
18〜24歳の年齢層の給与は低く、平均8万7000ドルだった。この年齢層には学生と大学卒業後に最初の仕事を始める人の両方が含まれているためだ。
O'Reillyによれば、予想よりも回答者が高年齢だったことは注目に値するという。29%が35〜44歳、36%が45〜54歳、22%が55〜64歳だった。
O'Reillyは調査項目の中に、テレワークと給与の関係を調べる質問を入れている。
それによると、テレワークの普及は著しく、「リモートで仕事をしていますか?」という質問に「いいえ」と答えた回答者はわずか6%にすぎなかった。半数以上(63%)が常にリモートで作業し、残り(31%)が週に1〜4日リモートで作業していた。
テレワークは給与の高さとも関係があった。週に1〜4日在宅勤務する人の平均給与は18万8000ドルであり、常にリモートで作業している人は18万400ドルだった。これに対して、リモートで仕事をしたことがない人の給与は13万1000ドルと大幅に低かった。
このような傾向は年収だけでなく、昇給にも関係しており、リモートで仕事をしたことがない人の昇給が最も低かった。
今回の調査では、対象を米国居住者に限定している。これは為替レートの変動に加え、適切な報酬基準が国によって異なるからだ。各国の給与を直接比較することは難しい。
調査は2022年4月4〜15日に、O'Reillyの「Infrastructure & Ops Newsletter」の受信者のうち、米国居住者と居住地不明者を対象に電子メールで参加を募って実施され、778人から有効回答を得た。回答者の居住地域は米国の43州とワシントンDCだった。
O'Reillyは2020年、2021年とクラウドの導入状況を調査しているが、2022年は別の角度からクラウド動向を捉えるため、クラウド担当者の給与調査を行った。
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