今回はWindows Updateがエラー「0x80070057」で失敗するときの可能性のある原因と、可能性のある既知の回復方法の実際についてレポートします。
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筆者は数台の物理PC(うち1台はサーバ機)と各PCのHyper-V環境にインストールされているさまざまなバージョン/エディションのWindows仮想マシン(平均して20台程度の仮想マシン)の他、「Windows To Goワークスペース」(3デバイス、※Windows 10 バージョン20H1以降サポートされなくなったことに注意)、Microsoft Azure上のWindows仮想マシン(5〜10台)を、「Bリリース」と呼ばれる毎月第2火曜日(米国時間)に当たる日本時間の早朝から、丸1日、時には数日かけて更新しています。
しばらく使っていない仮想マシンでも、製品のライフサイクル期間中のものについては、更新作業のためだけにこの日はオンにして最新状態を維持しています。スムーズに進むときは、その日の午後の早い段階で全て完了しますが、そんな月はまれな方で、毎月数台は原因不明のエラーで失敗します。
再試行で成功する場合もありますが、仮想マシンのチェックポイントを戻してやり直したら何の問題もなく完了したりもします。そんな非効率な作業が増えると、1日で終わらなかったりします。どうしても解決できない問題が発生した場合には、仮想マシンをいったん削除して作り直すこともあります。
2022年6月の更新作業では、「Windows 11」の1台(正式にはサポートされない使い方である、Windows To Goワークスペース)の更新で、Windowsの累積更新プログラムだけがインストールエラー「0x80070057」で失敗するという状況に見舞われました(画面1)。
このエラーは筆者自身、以前経験したことがあり、修復方法も既知の情報として以下に公開されています。
このエラーの原因は、Windowsの「コンポーネントストア」の破損であり、Windows Updateのインストール/再起動中やメンテナンスタスクの実行中に、突然の電源断や強制リセットなどで発生することがあります。
更新プログラムのインストールを完了させるためにPCを再起動する際、「コンピューターの電源を入れたままにしてください」と表示されますが、これは“お願い”ではなく、コンポーネントストアを破損させないために本当にそうした方がよいからです(画面2)。
Windows To Goデバイスの場合、誤ってUSBデバイスを取り外してしまったり、接続不良で応答停止状態になってリセットしたりした後によく発生します。電源を入れたままにしておいた方がよいと分かっていても、その状態が半日も続くようなら、強制リセットするしか残された道はありません。
コンポーネントストアの破損エラーは、次の「DISM」コマンドを管理者として実行することで解消することが期待できます。1つ目のコマンドは修復が必要かどうかをスキャンし、修復が必要なら2つ目のコマンドを実行します。
DISM /Online /Cleanup-Image /ScanHealth DISM /Online /Cleanup-Image /Restorehealth
コンポーネントストアの修復が100%完了するまでしばらく時間がかかりますが(数時間かかるわけではありません)、正常に完了すれば、その後のWindows Updateは問題なく進むはずです(画面3)。
コンポーネントストアの修復が100%完了しない場合は、以下のコマンドを管理者として実行して再起動し、起動時に「チェックディスク」を実施することで解消できる可能性は残っています。ただし、チェックディスクには数時間単位の時間がかかる場合があります(画面4)。
CHKDSK /r /f
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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