いよいよ完全終了へ。Internet Explorer(IE)サポート終了スケジュールTech TIPS

長らくWindows OSに標準装備されてきたInternet Explorer(IE)。その「寿命」は各種サポートの終了時期に左右される。Windows OSごとにIEのサポート終了時期を分かりやすく図示しつつ、見えてきた「終わり」について解説する。

» 2022年01月19日 05時00分 公開
[島田広道デジタルアドバンテージ]

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連載目次

Internet Explorerはいつまで使えるの?

 これまでのWindows OSには、Webブラウザとして「Internet Explorer(IE)」が標準でインストールされてきた。そして、ユーザーが直接使うWebブラウザに限らず、さまざまなアプリケーションがHTMLファイルなどを表示する際のコンポーネントとしても、IEはよく利用されてきた。

 そのIEの「寿命」が(一部を除いて)もうすぐ尽きようとしていることはご存じだろうか? 過去にWindows XPやWindows 7でよく話題に上った「サポート終了時期」が、IEにもやって来るのだ。

 本Tech TIPSでは、Windows OSごとに、サポートされているIEのバージョンおよびその終了時期が一目で分かるように図で表してみた。さらにネットサービスによるIEサポート終了の動きや、IEから他のWebブラウザへの移行に関する記事などもまとめている。IEからの「脱出」計画に役立てば幸いだ。

Windows 10 Home/ProのIEサポート終了時期

 Windows 10 HomeやPro、Pro Education、Pro for WorkstationのIEサポート終了時期は以下の通りだ。

Windows 10 Home/ProのIEサポート終了スケジュール Windows 10 Home/ProのIEサポート終了スケジュール

 上図の緑色のバー(横棒)は、IEの開発および提供元であるMicrosoftによって定められているライフサイクル上のサポート期間を表す。

OS IE サポート終了日
Windows 10 バージョン1507 IE11 2017年5月9日
Windows 10 バージョン1511 IE11 2017年10月10日
Windows 10 バージョン1607 IE11 2018年4月10日
Windows 10 バージョン1703 IE11 2018年10月9日
Windows 10 バージョン1709 IE11 2019年4月9日
Windows 10 バージョン1803 IE11 2019年11月12日
Windows 10 バージョン1809 IE11 2020年11月10日
Windows 10 バージョン1903 IE11 2020年12月8日
Windows 10 バージョン1909 IE11 2021年5月11日
Windows 10 バージョン2004 IE11 2021年12月14日
Windows 10 バージョン20H2 IE11(ブラウザとしてのIE) 2022年5月10日
Windows 10 バージョン20H2 IEモード 2022年5月10日
Windows 10 バージョン21H1 IE11(ブラウザとしてのIE) 2022年6月15日
Windows 10 バージョン21H1 IEモード 2022年12月13日
Windows 10 バージョン21H2 IE11(ブラウザとしてのIE) 2022年6月15日
Windows 10 バージョン21H2 IEモード 2023年6月13日
Windows 10 Home/ProのIEサポート終了日

●WebブラウザとしてのIEは2022年6月で使えなくなる

 上記の図や表の「ブラウザとしてのIE」は、単体で動作するWebブラウザアプリとしてのIE11を指している。そのサポートは2022年6月15日に終了する(以前は2025年10月終了だったのが前倒しされた)。

 それ以後は、ブラウザとしてのIEの起動ができなくなる。IEの実行ファイルである「iexplore.exe」を実行しても、代わりにMicrosoft Edgeが自動的に起動するようになる、とのことだ。「サポートが終わってもこっそり使えるから大丈夫」ということは通用しない。これは重々踏まえておく必要がある。

●IE救済策の「IEモード」はOSと同じ期限までサポートされる

 上記の図や表の「IEモード」は、Microsoft Edge内でIE専用ページを表示可能にする機能だ(詳細は後述)。ブラウザとしてのIE11のサポートが終わった後も、IEモードのサポートは継続する。IE専用ページを利用できるようにする、いわば救済策の本命といえる機能だ。

 この他、「MSHTMLエンジン」「Trident」「IEコンポーネント」と呼ばれる、IEでWebページの描画などを担うソフトウェアパーツについても、IEモードと同様、Windows OSのサポート終了までサポートが継続される。

Windows 10 Enterprise/EducationのIEサポート終了時期

 Windows 10 Enterprise/EducationのIEサポート終了時期は以下の通りだ。Enterpriseエディションについては、「半期チャネル(SAC: Semi-Annual Channel)」を対象としている(Enterprise LTSB/LTSCについては後述)。

Windows 10 Enterprise/EducationのIEサポート終了スケジュール Windows 10 Enterprise/EducationのIEサポート終了スケジュール

OS IE サポート終了日
Windows 10 バージョン1507 IE11 2017年5月9日
Windows 10 バージョン1511 IE11 2017年10月10日
Windows 10 バージョン1607 IE11 2019年4月9日
Windows 10 バージョン1703 IE11 2019年10月8日
Windows 10 バージョン1709 IE11 2020年10月13日
Windows 10 バージョン1803 IE11 2021年5月11日
Windows 10 バージョン1809 IE11 2021年5月11日
Windows 10 バージョン1903 IE11 2020年12月8日
Windows 10 バージョン1909 IE11 2022年5月10日
Windows 10 バージョン2004 IE11 2021年12月14日
Windows 10 バージョン20H2 IE11(ブラウザとしてのIE) 2022年6月15日
Windows 10 バージョン20H2 IEモード 2023年5月9日
Windows 10 バージョン21H1 IE11(ブラウザとしてのIE) 2022年6月15日
Windows 10 バージョン21H1 IEモード 2022年12月13日
Windows 10 バージョン21H2 IE11(ブラウザとしてのIE) 2022年6月15日
Windows 10 バージョン21H2 IEモード 2024年6月11日
Windows 10 Enterprise/EducationのIEサポート終了日

 前述のHome/Proエディションと同様、Windows 10 Enterprise/Educationでも「ブラウザとしてのIE」と「IEモード」でサポート終了期限が異なる。「ブラウザとしてのIE」は、遅くとも2022年6月15日にはサポートが終了する。

Windows 10 Enterprise LTSB/LTSCのIEサポート終了時期

 Windows 10 Enterpriseのうち、「LTSB」「LTSC」(Long-Term Servicing Branch/Channel)と呼ばれる長期サポート版でのIEサポート終了時期は以下の通りだ。

Windows 10 Enterprise LTSB/LTSBのIEサポート終了スケジュール Windows 10 Enterprise LTSB/LTSBのIEサポート終了スケジュール

OS IE サポート終了日
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB IE11 2025年10月14日
Windows 10 Enterprise 2016 LTSB IE11 2026年10月13日
Windows 10 Enterprise LTSC 2019 IE11 2029年1月9日
Windows 10 Enterprise LTSC 2021 IE11 2027年1月12日
Windows 10 Enterprise LTSB/LTSBのIEサポート終了日

 Enterprise LTSB/LTSCの場合、「ブラウザとしてのIE」「IEモード」ともにWindows OSのサポート終了までサポートが継続される。

Windows 11では既に「ブラウザとしてのIE」が使えない

 2021年10月にリリースされた「Windows 11」では、既に「ブラウザとしてのIE」が利用できなくなっている。[スタート]メニューなどにIEのショートカットは登録されておらず、IEの実行ファイルである「iexplore.exe」を実行しても、代わりにMicrosoft Edgeが起動してしまう。

 一方、IEモードについてはWindows 10と同様に利用できる。サポート期限もWindows OS本体と同じで、2022年6月15日以降も利用できる。

 2022年6月15日以前でも、Windows 10からWindows 11へアップグレードしたり、Windows 11プリインストールPCにリプレースしたりすると、その時点でブラウザとしてのIEが使えなくなるので注意が必要だ(細工をすれば実行できなくもないが)。何らかの理由からWebブラウザとしてのIEが必要な場合は、Windows 11へのアップグレードは行わない方がよいだろう。

Windows 8.1以前でのIEサポート終了時期

 Windows 8以前はOS自体のサポートが終了しており、IEもサポートが終わっている。Windows 8.1については、OS本体と同じく2023年1月10日でIEのサポートが終了する。

Windows 8.1以前でのIEサポート終了スケジュール Windows 8.1以前でのIEサポート終了スケジュール

OS IE サポート終了日
Windows 2000 Professional IE5 2010年7月13日
Windows 2000 Professional IE5.5 2005年12月31日
Windows 2000 Professional IE6 2010年7月13日
Windows XP IE6/IE7/IE8 2014年4月8日
Windows Vista IE7/IE8 2016年1月12日
Windows Vista IE9 2017年4月11日
Windows 7 IE8/IE9/IE10 2016年1月12日
Windows 7 IIE11 2020年1月14日
Windows 8 IE10 2016年1月12日
Windows 8.1 IE11 2023年1月10日
Windows 2000/XP/Vista/7/8/8.1のIEサポート終了日

Windows ServerのIEサポート終了時期

 Windows ServerのIEサポート終了時期は以下の通りだ。

Windows ServerのIEサポート終了スケジュール Windows ServerのIEサポート終了スケジュール

OS IE サポート終了日
Windows 2000 Server IE5 2010年7月13日
Windows 2000 Server IE5.5 2005年12月31日
Windows 2000 Server IE6 2010年7月13日
Windows Server 2003 IE6/IE7/IE8 2015年7月14日
Windows Server 2008 IE7/IE8 2016年1月12日
Windows Server 2008 IE9 2020年1月14日
Windows Server 2008 R2 IE8/IE9/IE10 2016年1月12日
Windows Server 2008 R2 IE11 2020年1月14日
Windows Server 2012 IE10 2020年1月31日
Windows Server 2012 IE11 2023年10月10日
Windows Server 2012 R2 IE11 2023年10月10日
Windows Server 2016 IE11 2027年1月12日
Windows Server 2019 IE11 2029年1月9日
Windows Server, version 1809 IE11 2020年11月10日
Windows Server, version 1903 IE11 2020年12月8日
Windows Server, version 1909 IE11 2021年5月11日
Windows Server, version 2004 IE11 2021年12月14日
Windows Server, version 20H2 IE11 2022年8月11日
Windows Server 2022 IE11 2031年10月14日
Windows ServerのIEサポート終了日

既にIEでは利用できないWebサイト/アプリが増加中

 前述の通り、市場の大部分を占めるWindows 10 Home/Proでは、2022年6月15日で「ブラウザとしてのIE」が実質的に使えなくなる。だが、それより前に「インターネットブラウザ」としてのIEの実質的な寿命は尽きようとしている。

●Twitterなどメジャーなサービスは既にIEで利用不可

 例えばWeb版Twitterは、IEを全くサポートしておらず、IEで開こうとすると、自動的にMicrosoft Edgeで表示されてしまう。同様にGmailDropboxAppleInstagramYouTubeといった著名なサイトも、Microsoft Edgeへ自動的に転送され、IEでは全く利用できない。

Web版TwitterをIEで開こうとするとMicrosoft Edgeで表示されてしまう Web版TwitterをIEで開こうとするとMicrosoft Edgeで表示されてしまう

●Microsoft 365が2021年8月にIEのサポートを終了

 IEを開発してきたMicrosoft自身が同社のネットサービス「Microsoft 365(Office 365)」で、IEのサポートを2021年8月17日に終了済みである。

 Microsoft以外のネットサービス事業者からすれば、「開発元のMicrosoftが自身のネットサービスでIEのサポートを止めようとしている」「さらに他社にもIEからMicrosoft Edgeへの移行を支援している」「こうした理由から、弊社のサービスでもIEのサポート継続は難しい」といった理由を主張しやすい状況でもある。

●WordPressは2021年7月にIEのサポートを終了

 CMS(コンテンツ管理システム)として大きなシェアを占める「WordPress」も、2021年7月リリースのVer.5.8で、IEのサポートを終了した。そのため、WordPressで構築されているWebサイトでも、IEでの閲覧をサポートしない(動作を保証しない)傾向が強まっているようだ。

●ネットサービス事業者がIEのサポートを止めたがる理由

 以上のように、2022年6月よりもっと前にIEのサポートを終了させる動きが増えている。なぜ、このように急がれているのだろうか?

 Google ChromeやMicrosoft Edge、Mozilla Firefoxといった主流のWebブラウザ(モダンブラウザとも呼ばれる)は、自動アップデート機能を備えている。そのため、エンドユーザーは新たに追加されたWebの機能や技術を速やかに利用できる。ネットサービス事業者は、こうしたWebブラウザの最新機能を活用して、より短い期間で新機能を追加したり、全く新しいサービスを開発したりしている。

 一方、IEは新機能の追加が停止されて久しく、前出の主流Webブラウザと比べると著しく機能が不足している状態だ。結果として、主流Webブラウザと同様にIEをネットサービスに対応させようとすると、IEに足りない機能を独自に実装したり、IEでも実行可能な古い手法で実装するように変更したり、といった作業に多大な手間がかかる。

 手間はコストに跳ね返るので、IE対応を続ける場合、ネットサービス事業者はその分のコストをユーザーの利用料金や広告収入などから賄う必要がある。つまり、IE対応はサービスの無償提供をより難しくさせるし、フリーミアムモデルの無償範囲を狭めるデメリットがある。そのため、多くのネットサービス事業者にとって、できることならIE対応は止めたいのが本音だろう。

 それでも、IEのユーザーが多ければ、IEに対応するメリットはあった。しかし、最近ではIEのシェアは大幅に下がっている(特に海外では顕著だ)。加えて、前述のようにMicrosoft自身もIE対応を止めるのであれば、それを機にもっと多くのネットサービス事業者がIE対応を止めてしまう可能性は高いだろう。

IEが使えなくなる前に他のWebブラウザへ移行しよう

 以上のように、IEをまだ使っているユーザーは急いでサポート終了の対策をする必要がある。どうすればよいのか?

●IE専用のWebページ/アプリを利用していない場合

 他のWebブラウザでも利用できるページやアプリ、サービスばかりなら、前出の主流Webブラウザのいずれかに移行しよう。

 もちろん、他のWebブラウザへの移行は面倒であるし、慣れ親しんだIEと比べて使い勝手は変わる。だが、主流WebブラウザならIEからブックマークなどを移行する機能は標準装備しており、その作業は難しくない。また、使い方やノウハウを解説する記事などもインターネット上にたくさんある。主流Webブラウザのユーザー数も増えていて、質問できそうなユーザーが身近にいる可能性も高くなってきている。そのため、使い方が分からなくても、たいていはすぐに解決策を見つけられるだろう。

 Windows 10の場合、移行先として最も手軽なのはMicrosoft Edgeだろう。最新の更新プログラムを適用しているなら既にインストール済みで、すぐ使えるからだ。

 最もシェアの大きいGoogle Chromeに移行するなら、以下の記事集を参考にしていただきたい。

●IE専用のWebサイト/アプリを利用している場合

 企業内システムにIEでしか利用できないWebアプリが残っている、あるいは行政機関などのIE専用サービスを使わざるを得ない(原稿執筆時点においても、地方自治体の入札システムなどに、IEでのアクセスが必須になっているところが多い)、といった場合は、移行先候補の筆頭にMicrosoft Edgeが挙げられるだろう。

 これは先に触れた「IEモード」という、Microsoft Edge内でIE専用ページを表示する機能が標準かつ無償で利用できるからだ。IEモードでは、IE専用ページ/アプリのURLを事前にリストアップして登録することで、エンドユーザーがそれらをMicrosoft Edgeで開いたとき、自動的にIEモード(MSHTMLエンジン)で開くように設定できる。

Microsoft Edgeの「IEモード」 Microsoft Edgeの「IEモード」

 IEモードを利用したMicrosoft Edgeへの移行については、まずMicrosoftの「Internet Explorer から Microsoft Edge への移行ガイドライン」を一読するとよいだろう。

 IEモードそのものについては、Microsoft Docsの「Internet Explorer (IE) モードとは」の他、以下の記事も参考にしていただきたい。

■更新履歴

【2022/01/19】Windows 11のリリース後の情報を反映しました。

【2021/06/30】IEモードやMSHTMLエンジンのサポート期限、およびWindows 11の関する解説を追加しつつ、全面的に改定しました。

【2021/05/21】サポート終了スケジュールの図表で、Windows 10(LTSB/LTSC以外)のIEサポート終了日が2022年6月に前倒しされたことを反映しました。

【2021/05/19】IEからEdgeへの自動転送について追記しました。

【2020/08/26】Microsoft 365でのIEのサポートが2021年8月で終了するとの発表や、Chromium版EdgeのIEモードなどの最新情報を反映しつつ、全面的に改訂しました。

【2019/09/18】Windows Server 2012+IE11やWindows 10 Enterprise 2019 LTSC、Windows Server 2019など最新情報を反映しました。

【2017/08/15】サポート終了日の一覧表を追記しました。Windows Server 2016など最新情報を反映しました。

【2015/12/14】Windows 10に対応しました。

【2015/03/11】初版公開。


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