Microsoftは2022年7月19日、Azure仮想マシンの「復元ポイント(Restore Points)」機能が一般提供されたことを発表しました。「Azure Backup」や「Azure Site Recovery」といったこれまでの復旧ソリューションとは異なり、必要なときにオンデマンドでAzure仮想マシンのディスクをバックアップできます。
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Microsoft Azureで一般提供が開始された「復元ポイント(Restore Points)」は、Azure仮想マシンの仮想ハードディスク(ただし、マネージドディスク)をバックアップ保護する、新しくてシンプルな方法です。
復元ポイントは、「Azure Backup」や「Azure Site Recovery」と同様に、Azure仮想マシンの仮想ハードディスクのアプリケーション整合性またはクラッシュ整合性バックアップを作成するもので、Azure仮想マシンのゲストOSで発生した障害からの回復、損失や破損からのデータ保護、災害復旧のために使用できます。継続的な保護を提供するマネージドサービスであるAzure BackupやAzure Site Recoveryとは異なり(例えば、Azure Backupは1日に1回または複数回)、復元ポイントはAzure仮想マシンの管理者が“任意のタイミングで手動で作成”できます。
復元ポイントは仮想マシンごとに固有で、最大500個までの復元ポイントを作成できます。仮想マシンに対して「復元ポイントコレクション」を作成すると、最初に完全なバックアップ(復元ポイント)が作成され、その後の復元ポイントは増分バックアップで作成されます(画面1、画面2)。
各復元ポイントには、Azure仮想マシンの構成とクラッシュ整合性(仮想マシンが停止している場合)またはアプリケーション整合性(Windowsゲストの「ボリュームシャドウコピーサービス(VSS)」と連携、Linuxゲストの場合はファイル整合性)のディスクのバックアップが含まれます。
復元ポイントは、Hyper-V仮想マシンの「チェックポイント」(旧称、スナップショット)と同じように必要時に作成できますが、復元ポイントからの復元はHyper-V仮想マシンのロールバック(チェックポイントの適用)のようにはできません。
復元ポイントに含まれるディスクから新たなマネージドディスクを作成し、そのディスクをアタッチしたAzure仮想マシンを新規作成することで復元することができます(画面3)。
つまり、実行中のAzure仮想マシンの状態は復元ポイント内のバックアップには含まれず、実行中の状態を復元することはもちろんできません。完全に整合性のあるAzure仮想マシンの状態をバックアップしたいのであれば、Azure仮想マシンを停止(割り当て状態を含む)した状態で復元ポイントを作成するとよいでしょう。
復元ポイントの作成機能は、Azure CLI(az restore-point createなど)やAzure PowerShell(New-AzRestorePointなど)からも実行できるので、独自の自動化ソリューションに簡単に組み込むことができます。現在のAzure Backupもまた、Azure仮想マシンのバックアップを1日に複数回作成するために、復元ポイントの機能を使用しているということです。
復元ポイントの利用方法の詳細や制限事項、プレビュー段階の機能については、以下のドキュメントを参照してください。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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