Amazon Web Servicesは、さまざまな業種の企業同士が基礎データを共有または提示することなく、データセットを組み合わせて簡単かつ安全に分析し、コラボレーションできる新しい分析サービス「AWS Clean Rooms」を発表した。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
Amazon Web Services(AWS)は2022年11月30日(米国時間)、さまざまな業種の企業同士が基礎データを共有または提示することなく、データセットを組み合わせて簡単かつ安全に照合、分析し、コラボレーションできる新しい分析サービス「AWS Clean Rooms」を発表した。
AWS Clean Roomsは現在、プレビュー段階にあり、2023年初めに提供が開始される。
AWSが新サービスを提供する背景には、広告やメディア、金融、ライフサイエンスなど、さまざまな業種の企業が自社データを外部のビジネスパートナーが持つデータで補完し、ビジネスの全体像を把握して、新たな展開につなげようとする動きが活発化していることがある。
こうした企業はその一方で、消費者の機密情報を保護し、生データの共有を抑制または排除することも望んでいる。そのため、ユーザーレベルでパートナーにデータコピーを提供し、誤用の防止については、契約上の合意に依存している場合が多い。
こうした課題を解決するため、複数の関係者がお互いの生データを見ることができない保護された環境で、データを組み合わせ、分析できるようにする技術として、「データクリーンルーム」がある。だが、データクリーンルームは、プライバシー管理や、関係者のデータを保護するツール、分析ツールなどの要件が厳しく、構築に時間がかかる。
また、こうしたクリーンルームでは、そのストレージ環境にデータをコピー、アップロードすることを繰り返すため、コストがかさむ他、情報流出リスクもある。
AWS Clean Roomsはこれらの問題に対応し、次のようなメリットを提供する。
AWSマネジメントコンソールから、コラボレーション相手のパートナーを選び、データセットを選択し、参加者を設定するだけでよい。
データをAWS環境から移動したり、他のプラットフォームにロードしたりする必要がない。ユーザーがクエリを実行すると、AWS Clean Roomsは、データが存在する場所でデータを読み取り、組み込みの分析ルールを適用して、データの制御を維持する。
クエリ制御、クエリ出力制限、クエリロギングなどが可能だ。また企業は、各クリーンルーム参加者が実行するクエリに対する制限をカスタマイズすることもできる。
AWSはAWS Clean Roomsのユースケース例として、マーケティングや広告の最適化、カスタマーインサイト向上、レポートや測定の改善、研究開発の促進を挙げている。
AWSは今後数カ月間に、企業が複雑なワークフローを構築、維持することなく、各種チャネルに保存されている顧客記録を照合し、連携させて活用するための新しいID解決機能を導入する計画も明らかにしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.