クラウドストレージやクラウドバックアップサービスを提供するBackblazeは、2022年の自社データセンターにおけるHDD使用統計レポートを発表した。
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クラウドストレージやクラウドバックアップサービスを提供するBackblazeは2023年1月31日(米国時間)、2022年の自社データセンターにおけるHDD使用統計レポートを発表した。
2022年12月31日時点で、Backblazeは世界中のデータセンターで23万5608台のドライブを管理していた。そのうち4299台が起動ドライブ(SSDとHDD)、23万1309台がデータドライブ(全てHDD)だ。同レポートではデータドライブに焦点を当てて、2022年のHDDの故障率、2020年、2021年、2022年のAFR(Annualized Failure Rate:年間平均故障率)の比較、メーカー別のAFR、生涯AFRを報告している。
2022年末時点で、Backblazeはデータ保存に使用する23万1309台のHDDをモニタリングしていた。このうちテスト目的で使用していたものなどを除いて、23万921台のHDDを分析対象とした。これらのHDDの2022年の故障率は以下の通りだ。
Backblazeは、注目点と注意事項として以下を挙げている。
2020年、2021年、2022年のAFRを比較した表は下記の通り。HDD全体のAFRは、2020年には0.93%だったが、2021年は1.01%、2022年は1.37%と年々上昇している。
BackblazeはAFRの上昇の要因として、HDDのサイズと使用期間に着目し、それぞれ検討した。その結果として、「使用期間が長くなり、HDDが古くなるにつれて障害が増える」、つまりHDDの老朽化が、AFRが上昇した要因だと結論づけている。
Backblazeは2023年には、古いHDDを16TB以上のモデルに置き換えることに注力するとしている。2022年末に現役だった4TBモデルや6TBモデルは、役割を終える可能性があるという。
Backblazeは、HDDのメーカー別AFRについて、過去3年間の四半期ごとの推移を次のように示している。
Backblazeは、2021年第1四半期から2022年末までのHDD全体のAFRが上昇傾向にあることについて、Seagateの寄与が大きく、同社ほどではないが東芝も寄与しているようだと指摘している。Backblazeが使用するSeagate HDDのほとんどが、他のメーカーのHDDよりもかなり古いことが、その理由だと考察している。
ただし、Seagate HDDは価格が低いことから、Backblazeは、自社環境ではSeagate HDDは故障率が高いものの、より高価なHDDと同様の費用対効果を提供すると考えている。
Backblazeが2022年末に本番運用していた全HDDの生涯AFRは、1.39%となっている。これは1年前(1.40%)よりも低く、前四半期(1.41%)よりも低い。
生涯AFRは、ドライブ障害の一時的な変動による急激な変化が少なく、HDDモデルのAFRを示す指標として有効だと、Backblazeは述べている。ただし、確信が持てる数値を得るには、相当な期間にわたる観測(Backblazeの場合は正常稼働日数)が必要になる。そこでBackblazeは、正常稼働日数が100万日以上のHDDモデルに絞って、正常稼働日数が多い順に、生涯AFRを次のように示している。
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