市場には無数のノーコード開発ツールが登場している。だが、それぞれのツールがどう違ってどう使い分ければいいのか。自社に最適なツールはどうやって見つければいいのか、運用で気を付けるべきことは? など分からないことは意外に多い。そこで本連載では、ノーコード開発ツールの基礎と、活用するために必要な要素について解説する。第1回はノーコード開発ツールが流行した背景とツール選定の注意点について。
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「ローコード/ノーコード開発ツール」への注目が集まっている。
ローコード/ノーコード開発ツールとは、主に「GUI」(Graphical User Interface)の画面を操作するだけでアプリケーションなどを開発できるツールのこと。「フルコード」「フルスクラッチ」といった、一からソースコードで記述する開発手法に比べると、プログラミングスキルがない事業部門の担当者でもシステム開発が可能になるというメリットがある。
アイ・ティ・アール(ITR)は、国内ローコード/ノーコード開発市場について、2021年度の売り上げは対2020年度比で18.6%増、2026年度は2021年度の約2倍の1330億円にまで拡大すると予測している。つまり「3年で売上金額は2倍以上」という急成長が見込まれている。
調査会社Gartnerは「2024年までに世界で開発されるアプリの65%がノーコード、またはノーコードに近いローコードによって開発される」(出典:Low-Code Development Technologies Evaluation Guide)と予測しており、今後は多くのアプリケーションがローコード/ノーコード開発ツールを使って開発されるだろう。
本稿では、こうしたローコード/ノーコード開発ツールの流行の背景と、ツールの導入を成功させるためのコツについて解説する。なお、「ローコード」(LowCode)と「ノーコード」(NoCode)で得意とする領域やメリットが異なるため、本稿では特にノーコード開発ツール(もしくはノーコード寄りのローコード開発ツール)について取り上げる。
現代は技術革新、価値観の多様化、政治不安や自然災害など、不確実な要素が多く、将来の予測が難しい時代だ。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取って「VUCA」とも言われている。VUCA時代を生き抜くには「競合よりも優れた事業を」「高い生産性で」「素早く実現する」必要がある。そのためには、デジタルを活用してビジネスそのものを変革する(DX:デジタルトランスフォーメーション)、業務を効率化してコア業務に注力できる時間を創出するといった取り組みが重要になる。
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