開発者がローカル環境からコンテナやKubernetesをシームレスに操作するためのオープンソースグラフィカルツール「Podman Desktop 1.0」の一般提供が開始された。
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Red Hatは2023年5月23日(米国時間)、アプリケーション開発者がローカル環境からコンテナやKubernetesをシームレスに操作するためのオープンソースグラフィカルツール「Podman Desktop 1.0」の一般提供を開始したと発表した。
Red Hatは、「Podman Desktopは、開発者が開発環境と本番環境をより近づけるための簡便な方法を提供する」と述べている。
Podman DesktopはWindows、Mac、Linuxに対応している。ローカル環境に「Podman」(POD MANager)をインストールし、構成し、最新の状態に維持する。Podmanは、OCI(Open Container Initiative)コンテナおよびPodのオープンソース管理ツールだ。
開発者は、Podman Desktopが提供するシステムトレイを使って、他のタスクのフォーカスを失うことなく、コンテナエンジンのステータスチェックや操作ができる。さらに、Podman Desktopが提供するダッシュボードを用いて、コンテナ、イメージ、Pod、ボリュームを操作できる他、OCIレジストリやネットワーク設定を使用して環境を構成できる。Kubernetes環境にPodを接続し、デプロイ(展開)することも可能だ。
Podman Desktopは複数のコンテナエンジンをサポートしており、開発者は好きなものを選んで使える。サポートされるコンテナエンジンは、Podmanコンテナエンジン、crc、Podman Limaマシン、Dockerだ。
Red Hatは、「Podman Desktopは、コンテナの作成、管理、デプロイを簡素化するとともに、そのための基盤環境の構成を抽象化する。そのため、軽量かつ効率的なコンテナ管理オプションとなり、管理のオーバーヘッドを軽減する」と述べ、Podman Desktopのメリットとして以下を挙げている。
ユーザーフレンドリーなUIにより、開発者は全てのコンテナを1カ所で管理でき、複雑なコマンドラインコマンドを使わずに済む。このため、複数のコンテナや複雑なコンテナ構成を管理する際の時間を節約したり、エラーリスクを軽減したりできる。
Podman Desktopは、コンテナ化を初めて行う開発者のオンボーディングプロセスを加速させることができる。直感的なインタフェースと効率的な管理プロセスにより、コンテナの迅速な導入が可能になり、学習曲線が短縮され、生産的で効率的な開発環境の構築が促進されるという。
開発チームはKubernetesオブジェクトをネイティブに扱うことができ、コンテナからKubernetesにスムーズに移行できる。また、「Kind」をベースにしたすぐに使えるKubernetes環境により、開発者は本番環境に近い環境でアプリケーションを作成、テストできる。そのため、開発環境と本番環境で構成が一致しないリスクが低減され、開発環境から本番環境へスムーズに移行できる。Kindは、Dockerコンテナをノードとして使用し、ローカルKubernetesクラスタを実行するためのツールだ。
Red Hatは、Podman Desktopの主なユースケースを次のように説明している。
Podman Desktopと「Red Hat OpenShift Local」の統合を利用して、Red Hat OpenShift上の本番環境と同じコンテナイメージや環境を使って、ローカルでアプリケーションを開発、テストする。これにより、本番環境へのデプロイリスクを低減できる。
Kindを代替のコンテナオーケストレーションツールとして使用するオプションにより、ローカルマシン上にマルチノードのKubernetesクラスタを作成する。本番でのマルチノード展開を想定したアプリケーションをよりリアルにテストできるようになり、構成ミスや互換性問題のリスクを軽減できる。
Podman Desktopと「Developer Sandbox for Red Hat OpenShift」の接続により、無料でクラウドベースのOpenShift環境にアプリケーションをデプロイする。企業は独自インフラを設定、管理するオーバーヘッドなしに、マネージドKubernetes環境でアプリケーションをテストできる。
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