GitHubのように、チームで効果的なコミュニケーションを推進するにはタイムゾーンやツールを超えたコミュニケーションの方法

GitHub社は創業以来、タイムゾーンやチーム、ツールを超えた効果的なコミュニケーション方法を模索してきた。常にGitHubを使用してGitHubを構築してきた同社は、コミュニケーションを取り巻く課題に対し、8つの指針を定めている。

» 2023年10月27日 13時00分 公開
[@IT]

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 創業当初から「テレワークファースト」を実践してきたGitHubは、タイムゾーンやチーム、ツールを超えた効果的なコミュニケーション方法を学んできたという。

 GitHubは2023年10月4日(米国時間)、その経験をまとめたガイドライン「私たちのコミュニケーション方法(How we communicate)」をCC-BY-4.0ライセンスのもとで公開した。

15年間、テレワークがほとんどのGitHub

 新型コロナ禍でテレワークへの移行を進めた多くの企業とは異なり、GitHubは創業以来15年にわたってテレワークが大半を占めており、常にGitHubを使用してGitHubを構築してきた。

 GitHubはソースコードを管理したりレビューしたりする場所だけでなく、GitHubの開発メンバーが仕事を計画したり、議論したり、文書化したりする場所でもある。オープンなやり方こそが、グローバルで多様なチームと協働し、情報に基づいた包括的でスケーラブルな意思決定を行うための最良の方法だと、GitHubは述べている。

 各チームにおいて日々のコミュニケーションをどうするかについては、自主性を尊重する文化も長く続いているという。コミュニケーションの方法と場所について、より効果的で注意深く、包括的であることができ、異なるニーズや好み、タイムゾーンを考慮した方法で、より十分な情報に基づいた意思決定ができるようになった。

8つの指針とその実践手法の定義

 「どのようにコミュニケーションをとるか」という課題に対して、GitHubは次の8つの指針を定めている。

  • 非同期である
  • 書きとめる
  • 作業を可視化して過剰にコミュニケーションをとる
  • GitHubのツールとワークフローを優先する
  • コラボレーションを受け入れる
  • ドキュメント整備を大切にする文化を醸成する
  • オープンで正直かつ誠実にコミュニケーションをとる
  • 実用性は純粋さに勝ることを忘れない

 これらの指針を定めた後、指針を実践するための具体的な方法を定義した。GitHubは、チャットやディスカッション、課題、プロジェクトボード、プルリクエストなど、最も一般的なコミュニケーションの形から始め、通知の管理方法や効果的なミーティングの運営方法、より包括的なスケジュールの立て方などについての提案を共同で作成している。

重要な通知とそうでない通知をどう管理しているか

 さまざまな職務に携わる1500人を超えるエンジニアがいるGitHubでは、個々の社員を煩わせることなく全員に情報を提供し、関与させる方法という課題にも直面した。以前は、全ての通知を受け取るか、完全に無視するかのどちらかだったが、通知による煩わしさを最小限に抑えつつ、気になるトピックをキャッチできるようなシステムを作ろうと考えた。

 そこでGitHubでは、チーム内やチーム間での情報共有に「GitHub Discussions」を多用している。エンジニアは既にGitHub.comで作業していたため、コメントや絵文字によるリアクションなど、ディスカッションはあらゆるトピックについて非同期の会話を始めるのに最適な方法だったという。

 またチームに対しては、メインの「github/engineering」リポジトリに直接議論を投稿するのではなく、GitHub Copilotがテーマなら「github/copilot」、GitHub Actionsがテーマなら「github/actions」のように、関連するリポジトリに投稿するよう促した。これにより、興味のある人は気になるリポジトリを購読して、新しいディスカッションが投稿されたときにメールやWebで通知を受け取ることができ、github/engineeringリポジトリを通して組織全体に届く通知の量は減少した。

 一方、スタッフ向けの新機能や昇進、エンジニアリングの優先事項の更新などの重要な情報は、確実に伝えるための対策を採っていたという。

コミュニケーション力を向上させる第一歩とは

 GitHubはチームでのコミュニケーションの取り方について、原則、プラクティス、実験の3つに分けて提案している。

  • 原則:組織の内部コミュニケーションに関する指針を定めるべきである。どのようなコアバリューを推進したいのか、また、チーム全体で共通のAPIを持つために、どのようにしてそのバリューを中心に全員の足並みをそろえられるのか
  • プラクティス:原則に基づいてプラクティスを開発する。具体的にどのようなプラクティスを採用して、そのプラクティスが組織全体で採用されるかを検討する
  • 実験:プラクティスを改善するために、自動化や新たなテクノロジーを使って実験する。AIやその他のツールを使ってワークフローを自動化し、情報の質を向上させる方法を検討する

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