Oxide、オンプレミスで簡単に運用できる“クラウドコンピュータ”を発表設置後すぐにクラウドサービスを利用できるラックスケールシステム

Oxide Computer Companyは、世界初の商用“クラウドコンピュータ”を発表した。「オンプレミスでクラウドコンピューティングを利用できるように設計されており、ハードウェアとソフトウェアが完全に統合された真のラックスケールシステム」とうたっている。

» 2023年11月01日 08時00分 公開
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 Oxide Computer Company(以下、Oxide)は2023年10月26日(米国時間)、世界初の商用“クラウドコンピュータ”の一般提供開始を発表した。「オンプレミスでクラウドコンピューティングを利用できるように設計されており、ハードウェアとソフトウェアが完全に統合された真のラックスケールシステム」とうたっている。

 OxideのCEOで共同創業者のスティーブ・タック氏は、“クラウドコンピュータ”の開発コンセプトをこう説明している。「クラウドコンピューティングは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤だが、レンタル専用の集中管理モデルに制限されている。だが、今日の企業は財務、セキュリティ、レイテンシ、信頼性などのニーズから、コンピューティングインフラを所有する必要がある。レンタルのみのモデルは、これらのユースケースに対応した最新のクラウド機能を提供していない。われわれはこの状況を変えていく」

ハードウェアとソフトウェアを統合

 Oxideは、クラウドとオンプレミスのトレードオフをなくした“クラウドコンピュータ”を企業が所有して運用できるようにするには、ハードウェアとソフトウェアの両方をラックスケールで再設計する必要があると考えている。タック氏と、CTO(最高技術責任者)で同じく共同創業者のブライアン・キャントリル氏は、Dell、Sun Microsystems、Joyentでの数十年にわたるクラウドインフラの経験を基に、ソフトウェア、機械、電気、産業工学の知識、経験を持つ60人のベテラン技術者を集め、この課題に取り組んだ。

 Oxideの“クラウドコンピュータ”は、ハードウェアとソフトウェアの一体設計により、コンピュート、ストレージ、ネットワークが完全に統合されたラックシステムだ。従来のサーバよりもエネルギー効率が大幅に改善されており、従来のオンプレミスインフラよりも少ないスペースで、オンプレミスデータセンターでハイパースケールクラウドコンピューティングを実現できるように構築されている。

 可視性、保守性、サポート性の向上によってデータセンター運用を簡素化するとともに、パブリッククラウドと同じセルフサービスの開発者体験をオンプレミスで実現すると、Oxideは述べている。

Oxideラックシステム(提供:Oxide)

ITトランスフォーメーションを容易に

 Oxideのラックシステムは開発者と運用者の両方に配慮して設計されており、クラウドコンピューティングサービスの実行に必要な全てのソフトウェアを搭載して出荷され、組み立ては不要だ。従来のラックシステムでは、設置から開発者が利用できるようになるまでに数週間から数カ月かかっていたが、Oxideラックシステムでは、それが数時間に短縮される。

 ハードウェアは、保守などの作業を全てコールドアイル(冷気通路)側からできるように独自に設計されており、電源の接続とノースバウンドネットワーク接続(データセンターの基幹ネットワークへのアップストリーム接続)だけで設置が完了する。コンピュートスレッドとネットワークスレッドは全てプリインストールされており、設置後すぐに使用できる。

 DCバスバーとネットワークバックプレーンがラック全体で統一されており、全てのコンポーネントを簡単に着脱できる。新しいコンピュートスレッドを装着するだけで、キャパシティーを追加することができる。

 ソフトウェアスタックは全てオープンソースであり、オンプレミスインフラで頭痛の種になるライセンス管理は不要となっている。バグ修正や新機能はアップデートのみで提供される。また、最初のブート命令から仮想マシンまで、認証ではハードウェアレベルの信頼性が確保されている。

 安全な軽量ハイパーバイザー、フル機能のコントロールプレーン、分散ブロックストレージシステム、IAM(ID/アクセス管理)、セルフサービスネットワークファブリックのためのパケット変換エンジンといったソフトウェアが搭載されている。

 リソースプールは、堅牢(けんろう)なAPIやCLI(Command Line Interface)、、WebベースのUIで利用できる。全ての機能が完全にプログラミング可能であり、さまざまな管理方法、構成方法で整合性が保たれている。

 Oxideラックシステムの顧客には米国エネルギー省傘下のアイダホ国立研究所や、世界的な金融サービス企業などが含まれており、数カ月以内に複数のフォーチュン1000企業が設置を完了する予定だ。

 Oxideラックシステムの仕様の概要は以下の通り。

コンピュートスレッド(合計):16、24、または32

プロセッサ(x86コア):16〜32(1024〜2048)。Milanアーキテクチャ AMD EPYC 7713Pを採用

メモリ(DRAM):16TiB〜32TiB

ストレージ:465.75 TiB〜931.5 TiB

ネットワークスイッチ:2(1+1)。Intel Tofino 2プロセッサを採用

スイッチング(L2 / L3):12.8Tbit/s

パワーシェルフ:1

電源:6(5+1)

標準/最大消費電力:12/15キロワット

サイズ(高さ×幅×奥行き):2354×600×1060ミリ

重さ:最大約1145キロ

ラックレベルスイッチ(提供:Oxide)

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